障がい者雇用の話題では、今年4月1日より、法定雇用率が引き上られた。民間企業が2.2%、国・地方公共団体などが2.5%、都道府県などの教育委員会が2.4%となったが、秋には中央省庁による稚拙な“水増し”が発覚し、政府は09年中に障がい者を4000人採用することで、自ら定めた法定雇用率の2.5%の達成を再び目指す。

 一方で、民間企業においても、“対岸の火事”ではない。20年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を目前にして、障がい者を戦力化して2.2%を達成するには、企業体質の大幅な転換を抜きにしてはあり得ないからだ。

 そのためには、すでに企業で働く障がい者に加えて、過去に企業で働く経験を持てなかった発達障がい者や、知的障がい者などにも範囲を拡大する必要が出てくる。

 この数年、日本で盛り上がったLGBT(性的少数者)ブームのように、自らで対象者を限定するのではなく、「障がい者も含めて、あらゆる人が対象となる新しい雇用モデルを創出する」というACE固有のロジックは、LGBTを超える広範な概念である点が異なっている。

 この社会を構成する全ての人が、何らかの形で社会づくりに参画できるのであれば、結果的に“誰もが仲間外れにならない世の中”が現出することになる。

 日本の企業は今、大きな岐路に立たされている。このタイミングで体質転換を図るか、誤魔化して逃げるか。ビジネスの収穫を得るのは、まだまだ先の話である。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

清水建設と日本IBM東京基礎研究所が共同開発したスマートフォン用のアプリケーション「音声ナビゲーション・システム」。一般歩行者、車イスの利用者、視覚障がい者のそれぞれにとって適したルートを案内したり、音声対話で目的地を検索したりすることができる。実証実験には、米IBMで数少ないフェロー職に就いた全盲の浅川智恵子氏も登場した。障がい者向けのアプリとはいえ、移動経路などを分析することにより、健常者にとっても“気づき”が得られる