新浪微博が始めたEC化の試み、
ウェイボーモールの現状はどうなっているか
――確かに認知度アップのためにはウェイボーは最強のツールかもしれませんが、企業としては結果的に売り上げにどう結びつくかが関心事でしょう。そういう意味では、ウェイボーとECとの接点が気になるところですが、どうでしょう。
「新浪微博が始めたEC化の試み、ウェイボーモールは現状ではうまくいっていません。なぜか。やはり中国のECサイトであるタオバオに来るお客さんには購買意欲があるけど、ウェイボーは情報収集が目的で、すぐに買おうという層ではない。ソーシャルメディアが即ECに結びつくのは難しいという結果が出ているようです。
これは日本でも同じで、フェイスブックやツイッターをやったから売上倍増というわけにはいかない。以前話題になった食品メーカーの広報部長が始めたツイッターの日々を綴った『ツィッター部長のおそれいりこだし』(末広栄二著、日経BP社、2010年9月刊)の中でも著者は同じことを言っています。でも、ツイッターを通じて起こるファンを巻き込む大きな流れは、巨額な広告宣伝費を投入しても起こせないものだとも書いています。
実は、中国では逆の動きも起きています。タオバオがウェイボーを重視し始めたのです。タオバオモールは一企業としてウェイボーの公式アカウントを持っているのですが、フォロワー数は約130万人で、彼らをいかに購買に結びつけるかという取り組みが始まっています。ソーシャルメディアの中でECをやるのでなく、すでにあるECの中でソーシャルメディアを展開しようということです。」
――今後ウェイボーはどうなっていくと思いますか?
「この1、2年の動きを見ていても、SNSは変遷が著しい。それは日本でも同じです。ウェイボーの地位も絶対ではないのかなと思うときがあります。すでに別のタイプのSNSも出てきている。たとえば、自分の声でつぶやく『微信』というサービスも始まっています。しかし、このまま機能が進化して、ウェイボーが独走する可能性もあります。」
――政府が欧米系SNSをアクセス規制した後、中国人のニーズに即して独自の進化を遂げたのがウェイボーです。米国生まれのフェイスブックと移民国家の関係が指摘されるように、今日の中国社会でウェイボーが求められている背景には何があるのでしょうか。
「中国人はおしゃべり好きです。これまでもチャットやQQなど多彩なコミュニケーションツールはあった。現在のウェイボーユーザーの70%が30歳以下。一人っ子世代の彼らはひとりで家にいて誰かとつながりたかった、というのが実はツボだったかもしれません。