年末になると、恒例のイベントが多い。12月12日の夜に経済広報センターが主催し、経団連会館で行われる日本企業と在京中国メディアとの交流会もその一つだ。中国市場に次第に熱いまなざしを向けるようになった日本企業が、積極的にこの種の会合に参加している。中国メディアと良好な関係を作ることは、自社の中国でのアピールに役立つとの判断による行動だろうと思う。

SNSの活用に
消極的な日本の大企業

 しかし、在来のメディアに代わって、インターネットを基盤とする新しいメディアが雨後の筍のように現れてくる今日、企業のメディア戦略も根本から見直す必要に迫られている。その一つが、SNSと略されるソーシャル・ネットワーキング・サービスの活用だと言えよう。

 日本では最大の会員数を誇るmixi(ミクシィ)がその代表的な存在だ。2006年3月末現在の日本でのSNS利用者数は716万人だった(総務省)が、09年1月はその10倍にも増えたと見られる。米国のFacebookやツイッターは、海外のSNSとして世界的に知られる存在となっている。不特定大多数の人に情報発信できることが、SNSの最大の魅力と考えていいだろう。

 しかし最近、経済広報センターが1年前に行った「企業によるソーシャルメディア広報に関するアンケート」調査の結果を見て、私はきょとんとした。ソーシャルメディアを活用した広報を実施している企業は、わずか24.9%という寂しい数字だったからだ。1年前のデータとは言え、先進国である日本という要素を考えると、少なすぎるのでは、と思う。

 この調査の概要は次の通りである。

●調査方法:メール
●調査対象者:経済広報センターの主な会員企業の広報担当責任者
●調査期間:2010年11月15日~12月7日
●アンケート票発送数:460社
●回答数:185社(回答率40.2%)

 その結果についてもうすこし詳しく見てみよう。