「食べるため」と「生きるため」の
2つのワーク

「ライスワーク」と「ライフワーク」の<br />2軸で働き方を考える原尻淳一(はらじり・じゅんいち)
Harajiri Marketing Design 代表取締役、龍谷大学経済学部 客員教授
1972年埼玉県生まれ。大手広告代理店入社し、主に飲料のブランドマーケティング業務に携わる。その後、エイベックスグループに転職。多くのアーティストのマーケティング戦略、映画「レッドクリフ」の宣伝戦略立案、アニメ「ONE PIECE」のDVD事業戦略立案を行い、大ヒットに導いた。現在はマーケティングコンサルタントとして新規事業立案に取り組むことが多くなっている。また大学教授として知の技法と実践的マーケティングの講義を行っている。著書に『IDEA HACKS!』等、東洋経済ハックシリーズ。近著では『ビジュアル マーケティング・フレームワーク』(日経文庫)がある。日経ビジネススクール講師。環境省や厚生労働省の委員等も歴任している。

まず「ライスワーク」。人間、食べていくためには働かなくてはいけません。
当たり前のことですが、働いて何かしらの金銭的報酬をもらい、生活をする。このように自分が働くことと貨幣を等価交換することを前提に執り行われる活動が「ライスワーク」。

ただし、淡々とお金を稼ぐだけがライスワークではありません。
働くことによって、大いなる「やりがい」を得ることができますし、その先には働くことでしか得られない自己実現もあります。
できることなら、そこまでやりたい。ライスワークも追求しがいのある活動です。

そして、自分自身が生涯にわたって追い求めるものが「ライフワーク」
生涯にわたって、なんて書くとちょっと高尚な印象と勘違いをされそうですね。
「生きがい」を感じるための活動、ぐらいがちょうどいいかもしれません。

生きがいを感じる活動は長続きします。長いこと続けながら、探りながら高めていくもの、これがライフワークのイメージです。

また1つに限定されることもありません。
いくつあってもいい
その意味でライフワークは、ライスワークと違って金銭、貨幣とそのまますぐには結びついてはいません。
しかしやり方次第ではお金になることもあるし、お金では買えない別の報酬をもらえることもしばしば。人生の豊かさにつながっているものです。

そしてライフワークは、ライスワークと100%切り離された存在ではありません。
ライフワークに関するスキルや知見や知恵、経験が蓄積されることで本業であるライスワークの発展をサポートしてくれる可能性を秘めています
ここも「AND」だよ、と言っているミソの一つです。

さて、ライフワークといって生涯追い求めて、なんてそんな対象を見つけるだけでも大変そうな気もします。もしかすると、もうやっていること、いつの間にかやり続けていたことがライフワークなのかもしれません。