洋上風力クライシス#4Photo:Howard Kingsnorth/gettyimages

洋上風力の活用を促進する通称「再エネ海域利用法」の2019年の成立を受け、洋上風力発電分野には総合商社、エネルギー会社、ゼネコン、再生可能エネルギー専業会社など幅広いプレーヤーが参入して“バブル”の様相を呈した。あれから5年。政府公募のコンペなどを経て、洋上風力における勝ち組と負け組が鮮明となった。特集『洋上風力クライシス』(全6回)の#4では、洋上風力ビジネスに参戦した総勢56社の顔触れを網羅した「カオスマップ」を大公開する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

FITが洋上風力バブルを生み出すも
多くのプレーヤーが討ち死に撤退

 2019年に洋上風力の活用を促進する通称「再エネ海域利用法」(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が成立すると、商社、電力、ゼネコン、石油、外資系エネルギー企業が次々と洋上風力発電プロジェクトに参入し、「洋上風力バブル」が発生した。

 最大の要因は、大手電力が20年間、固定価格で電力を買い取る「固定価格買取(FIT)制度」だろう。洋上風力発電プロジェクトを獲得するためには、政府公募のコンペを勝ち抜かなければならないハードルはあるものの、コンペを勝ち抜けばある程度の採算が見込めると踏んだからだ。

 あれから5年。洋上風力発電分野における顔触れは、大きく様変わりした。コンペで惨敗し、洋上風力発電から撤退したプレーヤーが相次いだ。また、勝ち組を目指してパートナーを組み替えるなど合従連衡も相次いだ。たとえコンペを勝ち抜いてもその先には試練がある(本特集#1『三菱商事が洋上風力事業で「巨額減損」の瀬戸際、商社No.1の座危うし!コンペ第1弾で3案件を総取りも「3つの誤算」で窮地に』参照)。

 次ページでは、日本における洋上風力の歴史を振り返る「カオスマップ」を大公開する。商社、電力、ガス、石油、ゼネコン、風車メーカー、不動産、再生可能エネルギー専業、外資系の総勢56社の顔触れを紹介する。総合商社の隆盛や敗退で株価暴落、日本市場撤退、贈収賄事件で退場……洋上風力発電ビジネスを巡る栄枯盛衰をひもとく。