獺祭の瓶に貼られているのは、豪雨被害の際にお客さんが書いてくれたメッセージだ Photo by Rumi Souma

純米大吟醸なのに手頃な値段で買うことができる「獺祭」。コストパフォーマンスがいいのは、獺祭が大量生産されているからだ。『週刊ダイヤモンド』1月12日号の「変わります! ニッポンの『酒』」特集では、獺祭ブランドで有名な旭酒造の酒造りの工程を徹底取材。同社が手間の掛かるうまい酒をどうやって大量生産しているのか、その秘密に迫った。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相馬留美)

 山口県出身の安倍晋三首相が米国のオバマ前大統領来日の際に贈った日本酒が「獺祭」だったのを覚えている読者もいるだろう。獺祭の蔵元、旭酒造(山口県岩国市)の年間売上高は約120億円、うち2割が海外での売り上げだ。貿易統計によれば2017年の清酒の輸出金額は約187億円で、単純計算すれば海外で売った日本酒の1割強が「獺祭」ということになる。日本酒のグローバル化のリーディング・ブランドの一つと言って間違いないだろう。

 旭酒造は、業界でも「テック化」(IT技術やデータの活用)の最先端を行く企業である。山口県の岩国空港から車で40分、限界集落のなかにぽつんとそびえたつ12階建てのビルが旭酒造の本社だ(次ページの写真参照)。本社、といっても、このビルそのものが「酒蔵」なのは、“最先端”の象徴といえる。