京セラ創業者、稲森和夫さんの経営哲学が
中国でも多くのビジネスマンの支持を得ている

――ビジネス界では、京セラ創業者の稲盛和夫さんがランキング5位とトップですね。確かに、中国の書店でも稲盛さんの翻訳本はよく見かけますが、人気の理由は何でしょうか。

「稲盛さんがウェイボー上で一貫して語っているのは『経営はトップの器で決まる』ということです。また経営はガラス張りにするべきだともよく書いておられます。自らの経営哲学をストレートに語ることで、多くの中国のビジネスマンの支持を得ているのでしょう。彼らのリツイートを見ても、『自分も稲盛さんの経営を学んで実践している』『もっといろいろ教えを乞いたい』といったリスペクトにあふれたものが多いです。

71万人のフォロワーを持つ京セラ創業者、稲盛和夫さんのウェイボー。ストレートに語られる経営哲学に、リスペクトにあふれた反応が多い。

 

  元ソニー会長の出井伸之さん(http://www.weibo.com/nobuyuki)も、たとえば『今、中国のどの都市に行っても有望な業界は不動産、IT、金融といわれるが、成長の先にある成熟を視野に、もっと地元の特性を活かした産業作りがあっても然るべきだと思う』といった中国のビジネス界に対する直截なツイートを中国語で行っています。

 それに対して必ずしも反論ではなく、『中国はただのバブル』『中国は人々の意識がバラバラで、創造性ある企業連帯ができない』といった自己批判的な中国人の反応を見ることができます」。

――鄧小平による市場経済改革から20年たち、今中国は創業者を多数輩出する時代を迎えています。稲盛さんのように一代で成功した企業家をリスペクトする姿勢はむしろ日本人以上に強いかもしれませんね。ところで、日本の政治家では誰かいませんか。

「小泉政権時代の経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵さんもウェイボーを始めています。たとえば、竹中さんは昨年秋ごろ『世界経済が大混乱の兆しだ。欧米の財政赤字問題が話題になるが、本質は少し違っている。ヨーロッパは、通貨統合で為替による調整ができなくなったこと。アメリカは財政よりも経済(バランスシート調整に時間がかかること)だ。翻って日本の円高は、円という通貨の量が少ないことが根本にある』と日本語でツイートしています。

竹中平蔵さんのウェイボー。フォロワー数は約2万2000人でリツイート数もそれほど多くはないが、芸能人などのフォロワーとは明らかに属性が違っているのが特徴。