金融危機後の景気上昇が10年目となる今年、「景気後退局面になるのではないか」との見方も出ている。そこで前回に引き続き、来たるべき景気後退局面で日本企業が取るべき行動を提示する。(ベイン・アンド・カンパニー 石川順也パートナー、大原崇プリンシパル)
景気後退期における
攻守3つの鉄則
前回、「2019年が景気後退局面になっても勝ち残るための3つのアクション」では、近い将来やってくる景気後退局面に関して、グローバル調査結果を基にして、「今から正しい備えをしてチャンスに変えることが重要だ」と述べた。
その際、景気後退局面は、あらゆる企業に同じように悪影響をもたらすのではなく、むしろ勝者と敗者をより際立たせるとし、勝者は景気後退局面の中でも成長し、回復期には敗者にさらに水をあけることを指摘した。
勝者の共通項は、(1)自社のコアとなる強みを改めて定義し、景気シナリオのストレステストを実施、(2)コアで「勝ちきる」ためのリソース・ケイパビリティ(さまざまな事業を行うための能力やノウハウ)を確保、(3)攻め守り両面の「緊急対策」を具体化するという「景気後退期の攻守の鉄則」を、景気後退前にやりきっていることにある。したがって、次の景気後退局面に先立って、これらのアクションを準備することが必要だ。
そこで今回は、日本企業特有の課題を念頭に置き、日本企業へのヒントを提示したい。