実は、スタートアップの成功者を見ても、マッキンゼーやボストンコンサルティンググループなどの出身者は意外に多くないのです。新しい価値を生み出し、世の中にインパクトを与える場面では、コンサルタントのロジカルシンキングよりも、直感やセンス、実行力のほうがはるかに大事ということでしょう。画期的なアイデアを出すには、「ロジカルシンキングを捨てる勇気」が必要です。アイデアとは、いつも「ふとした瞬間」に降りてくるからです。一流クリエイターの話を聞いても、散歩中やお風呂に入っているときにアイデアを思いつく、という人が多いのです。

 では、その「ふとした瞬間」を呼び込むには、どうしたらいいのでしょうか。1つには、アイデア出しのヒントになるような、具体的なモノを目の前に用意します。僕はそれを「クルー(clue)」と呼んでいるのですが、本や雑誌の切り抜き、写真、最近気になる広告、夢中になって遊んでいるアプリ、ファッション等、何百という雑多な情報を、目の前のデスクいっぱいに並べます。このときのアイデア出しは1人ではなく、チームで行い、皆で自由に思いつきを出し合います。そうすることで、それぞれの言葉が刺激になり、一見無関係に思えるような思いつき同士が組み合わさって、アイデアが膨らんでいくのです。

 また、ロジカルシンキングと同じように、使いみちを誤りがちなのが「分析」です。日本人で多いのは、何のためかよくわからないままに分析するケースです。細かいところまでよく調べてくれるといつも関心するのですが、そこには結論がありません。分析は本来、何らかのアクションにつなげるために行われるものです。がんばって分析しているうちに、分析自体が目的になってしまうのは実にもったいないことだと思いませんか?

グーグルがやっている「○○な根回し」とは

 画期的なアイデアを実現させるカギは、端的にいうと「根回し」です。根回しというと、日本ではズルいこと、ゴマすり、といったネガティブなイメージがあるかもしれませんが、ここでいう根回しは「議論を生産的にするコミュニケーション」だとして、ポジティブにとらえてください。グーグルでは、ポジティブな根回しをよくやるのです。オフィスのあちこちで「これどう思う?」「このあたりが問題じゃないか」等、オープンな情報交換が行われています。コミュニケーションの回数が多く、誰がどんな意見を持っているかもだいたい把握できているほど、会議が始まる前からコミュニケーションをとっているので、会議の時間も充実します。