C社長はあきれた声で言った。

「はあー?何言ってんの!?そんなんで仕事休まれたら困るよ。今日も客と会う約束をしているんだろ?」
「はい」
「どうするつもりなの?」

 Aが言葉に詰まると、C社長は一喝した。

「テメエ!そんなことで会社を休めると思ってんのか!インフルエンザなんか気合で治せ!」

 結局、休みが認められなかったAは、フラフラしながらも何とか夕方までは仕事を続けた。

会社に休む旨の連絡をしたが
1時間後、課長らがやって来る

 翌日、40度近い高熱を出したAは身体が動かず、会社に休む旨を連絡すると自宅のアパートで療養していた。1時間後玄関のチャイムが鳴った。Aが出ていくと、ドアの入口にB課長と2人の先輩が立っているではないか。B課長はAを見るなり、急かした。

「いつまで寝ているんだ!?さあ、今から会社に行くぞ!仕事がたまっているからな」

 Aは慌てて抵抗した。

「待ってください。インフルエンザって人にうつるんですよね?だから会社に行けないんじゃないんですか?」
「バカ言うな。お前、そんなに会社ザボリたいのか?」

 B課長は、部下の2人に促しながら言った。

「早く服を着せてやれ。社長がカンカンに怒っているぞ」

 C社長への恐怖心から、Aは抵抗することができず、無理やり服を着せられると、B課長の運転する車で会社に向かった。

 Aは「これじゃ拉致同然だ」と車内でつぶやいた。

インフル感染した社員を出勤させたら
会社はどんな違反に問われるのか?

 その頃、甲社の顧問となったD社労士は会社を訪問し、C社長から悩みを打ち明けられた。

「業績は伸びているけど、人材不足でね。求人出しても人が来ないんだ」
「大変だな」
「おまけに、7ヵ月前にようやく入社した社員が、早くも出社拒否だよ」
「理由は?」
「インフルに罹ったらしく、医者から『治るまでは出社するな!』って言われたんだ」