絶対権力は絶対腐敗する

 良からぬ業者ばかりが優遇され、主要な取引先が離反していったり、顧客からの信用がなくなっていったりするなか、このあと三越は社員たちの必死の努力で復活を遂げた。

 顧問弁護士は、これらの問題がなぜ発生したかについて、「社長に権限が集中しすぎていたから」だと述べている。

 絶対権力は絶対腐敗するのである。
 
 そして、誰をトップにし、どう制御するかは絶対的に重要なことなのである。

 岡田氏は、旧態依然とした三越にヤング向けの新しい風を入れて売り上げを増やしたという。マクドナルド第1号店は、このときの銀座三越内にできたものである。そして宣伝畑出身で、マスコミの操縦がうまく、一躍時代の寵児となった。その結果、社長になるのだが、売上増加といっても、その内実は店舗の売り場面積が増えた(増床)分の売上増にすぎないともいわれている。

 また、なぜこのような人物がトップになったのか。

 選んだのは前社長であるが、前社長も岡田氏にいろいろ問題があることは十分に理解していた(実際に岡田氏が役員のときに、本部の許可なしに契約行為をし、会社に損害を与えたことがある)。前社長が岡田氏に弱みを握られていたために、社長に指名せざるを得なかったという説もある。

 いずれにしてもトップがこういう状況だと社員は悲劇である。

 そんなにひどい会社なら、他社に転職すればいいではないかと言う人もいるだろう。しかし、それも話としてはわかるが、社員の立場から見ると強い説得力を持たない。自分の愛着のある組織のトップに、本来なるべきでない人がなったのであって、退出すべきは自分ではなく、トップなのである。

 ちなみに冒頭の財務経理担当者も、三越のクーデターのリーダーも、しばらくして会社を離れることになった。正しいことをやったとの気持ちはあれど、自分の上にいた人間を葬った罪悪感にいたたまれなくなったのだ。

 社員にこういう思いをさせてはいけない。そのためには、なんといってもこういうトップを選んではいけないし、そういう兆候が出てきたなら、たとえそれなりの功績があろうと、形式的に違法行為であろうとなかろうと、警告の上、最終的には排除することを考えなくてはならない。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山進、構成/ライター 奥田由意)