PS生みの親の怒りにめげず
「圧倒的最先端」と決別

「ゲーム好きに楽しんでもらえるゲーム機を作りたい」。伊藤は原点に立ち返った。そしてPS4の設計方針として二つのことを掲げる。第一に、PCで使われている標準部品を使うことで小売価格399ドルを目指すとともに、ゲームソフトを開発しやすいゲーム機にする。第二に、標準部品を使ったからといって、「尖ったゲーム機」というPSの歴史は汚さない。

 とはいえ、見方によっては圧倒的最先端を目指したPS3からの路線変更である。「まず、久夛良木さん(久夛良木健・元ソニー取締役副社長兼COO。PSの生みの親)に、それはそれは怒られました」。伊藤は笑って話すが、それでも決意は揺るがなかった。

 同時に仕様上のコンセプトとして盛り込んだのが、「インターネットに接続し、ユーザー同士がつながってPS4上でのいろいろな体験を簡単にシェアできる」(伊藤)点だった。

 時代が変わってきていたのだ。PS2でもPS3でもネットにつなげる機能自体はあった。しかし、フェイスブックなどのSNSがどんどん勢力を増す中で開発するPS4では、こうした“つながる”機能こそ、コンセプトのメーンに据えるべきだと考えた。

 そのために開発体制から変えた。PS3までは日本で日本人が中心となり、開発を進めてきたものの、フェイスブックやグーグルといった世界を代表するIT企業は米国の西海岸を拠点としている。

 そこでPS4もサンフランシスコに拠点を設置。ハードウエア開発者やゲームクリエーター、デザイナーなど、あらゆる国籍のあらゆる職種の人を集め、ユーザー体験を向上させるための「UXワーキンググループ」を毎月開催した。