想像ではありますが、昔はそうしたことは先輩から後輩へと日常茶飯事に、半分は(もしかしたら)自慢話として伝わっていたのに、今は昔話をすると嫌われると思われていますから、途絶えてしまっている。上司たちも、そうした話はあまりしないようにしているということなのだと思います。

 そのため、組織や文化が生まれた経緯や意義が、若い人たちに伝わっていない場合があるのです。

 甚だしい場合は、誤った解釈が伝わっていることすらありそうです。社内ルールの存在意義や部署の果たしている役割ですら、経緯を知らないために実は納得してないのかもしれません。

 もちろん、同じ昔話であっても自慢話は嫌われるでしょうが、必要な情報や意味合いの伝達まで失ってしまってはいけないのだと思います。

 まさに、読者の皆さんが語り部となって組織の歴史、故事来歴を後輩たちに伝えていっていただければと思います。

 とはいえ、「時代が違うからこのルールはもう時代遅れだよね」とった解釈も場合によっては必要でしょう。そうしたことを今は組織の中で積極的にやっている人が少ないように思います。

 ただし、組織の語り部たらんとするためには、何よりも情報が正確であることが必要です。自らの解釈を入れることもありですが、曖昧やウソはいけません。そのため過去を語るに当たっては再度調べたり、人に聞いたりして事実を確認することが必要です。場合によっては自分の解釈が正しいかどうか、同年代の社員に確かめる必要もあるでしょう。面倒かもしれませんが、それぐらいの覚悟と努力は必要です。

現代史を皆、
知らなさすぎる

 会社の仕組みと同様に、社会の仕組みに関する話も時として喜ばれます。

 例えばなぜ小選挙区制が導入されたのか。若い人たちは小選挙区制の選挙しか知らないですし、「中選挙区制」という言葉は知っていても実感がないことも少なくないでしょう。

 なぜ中選挙区制が小選挙区制になったのか。その経緯だけでなく、私たちは中選挙区制度の時代も知っているし、それが小選挙区制度に変わって行く際のドタバタ劇も、両者の良さもリスクも実感しています。歴史の生き証人として、何を得て何を失ったのか、実感を込めて語ってあげるといいでしょう。