サンリオピューロランド小巻亜矢館長
サンリオピューロランド小巻亜矢館長は、危機的状況にあった同館をどのようにV字回復させたのか Photo by Toshiaki Usami

館内は客が少なくて暗く、スタッフには笑顔がない――。こんな低迷状態に陥っていたサンリオピューロランドをV字回復へと導いたのが、同館初の女性館長・小巻亜矢さんだ。2014年度に126万人だった来場者数は、小巻館長が就任した翌年の17年には198万人となり、現在も増加し続けている。サンリオに新卒入社後、一度は退職して専業主婦を経験。しかも、それまでテーマパーク事業の経験がなかった「素人」だったという異色の経歴を持つ小巻館長は、どのようにピューロランドを復活へ導いたのか。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 林 恭子)

子どもの死、離婚、乳がんを経験
専業主婦から仕事復帰、サンリオピューロランド館長へ

サンリオピューロランド小巻亜矢館長
小巻亜矢/サンリオピューロランド館長。1983年サンリオ入社。結婚退社、出産などを経てサンリオ関連会社に仕事復帰。2013年東京大学大学院修了。2016年サンリオピューロランド館長就任
Photo by T.U.

――サンリオピューロランド館長になる前には、専業主婦も経験されていたそうですね。

 1983年にサンリオへ新卒入社してギフトゲートや「いちごのお家」という直営ショップで1年足らず働いた後、一度は結婚退職しました。今思うともったいないことですが、当時は男女雇用機会均等法もなく、結婚や出産で会社を辞める時代。それから37歳まで専業主婦で、もう一度復帰する日が来るとは思っていませんでした。

 仕事に復帰する大きなきっかけになったのは、子どもの死でした。自分が生きる意味、生きている実感を失ってしまったのです。サンリオでもコラボしているX JAPANのYOSHIKIさんもメンバーのhideさんが亡くなった後、ピアノが弾けなくなったそうですが、人はすごくショックなことがあると、それまで当たり前だったことができなくなる心境に陥ることがあるのだと思います。

 私の場合は、自分が生きていることにすら罪悪感を持ったり、自分が無意味な存在に思えたりして、いろいろな人間関係も何もかもに疑問を感じ、感情がストップしてしまいました。そんな複雑な気持ちが爆発した後、結婚生活を終わりにして、経済的・精神的に自立する選択をしました。

 そうは言っても当時は30代後半の専業主婦。小さな子どもが2人いる中で仕事をしようにも、何か資格があるわけでもありません。本当に仕事がなく、ずっと自分の無力さを感じていました。そんな中で、たまたま声をかけてもらって始めたのが化粧品販売の仕事です。全国を飛び回って周りの方にも重宝していただいたのですが、サンリオで大人向けの化粧品ビジネスの仕事をすることになって、古巣に戻りました。

 この仕事を通して気づいたのは、女性の幸せには化粧品以上に、メンタルが重要だということ。そして、私が本当にやりたいことは、子育て中のお母さんや若い女性が自信を持って生きていくお手伝いをすることだと気づき、2008年に女性支援を行う企業内ベンチャーNalを立ち上げました。