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iPad Pro(2018)はMacと同じUSB-C端子を搭載したが… 筆者撮影

 アップルは2018年10月に開催したイベントで、iPad Proの新モデルとMacBook Air、Mac miniを登場させました。すべての製品に共通することは、「同じ」USB-Cポートが搭載されていることです。ただし、この説明は物理的には正しいかもしれませんが、論理的には正しくありません。

 個人的にも頭を悩ますこの問題が解決されるのは、いつになるのでしょうか。

 直近のニュースで、これまでの2倍の20Gbpsの通信に対応するUSB 3.2が登場すると報じられました。これに伴い、今まで混乱していたUSB 3.1 Gen 1、USB 3.1 Gen 2という表記も、それぞれUSB 3.0(最大5Gbps)、USB 3.1(最大10Gbps)に分かりやすく統一されます。

 とはいえこれとUSB-Cと何が関係あるのか、そもそも我々はどうすればいいのか。シンプル化を測りたいアップルですら収拾がついていない、スマートにならないUSB事情について考えます。

●USB-Cでできることはたくさんある

 USBは、我々が普段当たり前のように使っている周辺機器の接続や充電で使っている、四角い端子の規格です。便宜的にUSB type A、USB-Aと呼んでもいいかもしれません。

 USB-Aはほとんどのパソコンに搭載されているだけでなく、スマートフォンの充電器もUSB-A端子から充電します。テレビやレコーダーにもUSB-A端子は用意され、HDDを追加して録画時間を延ばしたいときに使われています。また、卓上扇風機なども、USB-端子から給電して動作させます。

 USB-Aは、データと電源供給の2つの役割をもっているわけです。

 一方、USB-Cも複数の役割を兼ねます。これまでのデータと電源に加え、DisplayPortのディスプレー出力もできるようになり、データの転送速度はUSB 3.1 Gen 2の最大10Gbpsに対応可能。電源もUSB PDの100Wまで給電できるようになりました。そこでアップルは古いUSB-A端子やディスプレイポート、電源用のMagSafe 2を廃止してUSB-Cに統一してしまったわけです。

●iPad ProやMacBookと、MacBook Airの端子は違う

 さて、ここでもう1つの問題があります。同じUSB-C端子でも、iPad ProやMacBookのUSB-Cポートと、MacBook AirやMacBook Proに搭載されたUSB-Cポートは仕様が異なっているという点です。

 MacBook AirやMacBook ProのUSB-C端子はThunderbolt 3に対応し、40Gbpsのデータ転送ができるほか、4Kディスプレーを2台接続したり、外部グラフィックスも接続できます。機能はインテルが用意しているThunderbolt 3のインフォグラフィックスに分かりやすくまとめられています

 重要なことは「The USB-C that does all(それをすべてするUSB-C)」というインフォグラフィックスのサブタイトル。この表現からUSB-Cは端子やケーブルのことだと分かります。つまりUSB-C端子がついていても、必ずしもThunderbolt 3に対応しているわけでもなければ、USB 3.1やUSB PDをサポートしているわけでもないのです。

●ケーブルもやっぱり違う

 さらに問題をややこしくしている点は、ケーブルによっても対応する通信や給電の規格が異なるという点です。

 アップルはMacBookやMacBook Air、MacBook Pro、iPad Proに、充電用のUSB-Cケーブルを付属しています。しかしこのケーブルはThunderbolt 3の40Gbpsだけでなく、USB 3.1 Gen 2の10Gbps、USB 3.0の5Gbpsにすら対応しておらず、USB 2.0の480Mbpsでしか通信ができないのです

 ならばすべてをThunderbolt 3、DisplayPort対応、USB PD対応にすればいいじゃないかと思われるかもしれません。実際そうしたモノを選んで購入しておけば間違いないでしょう。しかし価格は大幅に高くなります。

 アップルでThunderbolt 3対応のケーブルを買おうとすると0.8mで4500円になります。一方、USB-C充電ケーブルは1mでも2mでも1800円です。充電のためだけに倍以上の価格を払う必要はないですよね。

●このケーブルは持っておけ

 USB-Cと一口に言っても端子を利用する通信規格はいろいろあり、ポートの形状は合っていても期待するパフォーマンスが得られないということがありえます。

 さらに言えば、iPhoneとMac、iPadとアップル製品だけで統一していたとしても、USB-A、Lightning、USB-Cが混在してしまい、すべてに対応するケーブルやハブをそろえようとするとそれだけで非常にかさばってしまう結果を招きます。

 外出が多い筆者の場合、どのデバイスも確実に充電してから出かけるというのは1つの対処法ですが、出張などの場合の「最小構成」を考えるようになりました。

 そこでMacBook Proの61W USB-C充電器と付属のケーブルを基本に、あと1本ケーブルを追加すればiPhoneとMacとiPadその他のUSB機器を充電できるというケーブルを見つけました。

 それが「USB-C - microUSBケーブル」です。アップル純正品がないので、Amazonなどで入手可能なCable Mattersなどの製品を用意します。これでMacBook Pro本体や付属の充電器とmicroUSBを搭載するスマホやモバイルバッテリーなどを充電できるようになります。

 これに加え、アップルが販売しているmicroUSB - Lightning変換アダプタを手に入れます。純正品は1800円ですので、1000円以下で手に入る他の製品でも構いません。そして必要に応じて、先ほどのUSB-C - microUSBのケーブルに、Lighting変換コネクタを差し込めば、iPhoneも充電できるようになります。

 とりあえずこれでほとんどの場面がしのげるようになりました。持っているデバイスによっても異なると思いますが、ぜひお試しいただければと思います。


matsu

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura