IER-Z1R
ウォークマンのSignatureモデル「NW-WM1Z」と組み合わせたところ。

 ソニーは、最上位イヤホン「IER-Z1R」を国内発表した。昨年の夏から秋にかけて、香港やベルリンなどの展示会で出展されていたもの。Signatureシリーズの一角を占め、ヘッドホンやイヤホンの特徴である「細かな情報の再現」と、スピーカー再生の特徴である「広がりや音場表現」の両立を目指している。

ジルコニウム合金をペルラージュ加工で仕上げる

 硬度に加え、耐色性も高いジルコニウム合金を使用したハウジングの表面は、メッキではなく磨き上げて仕上げたもの。外側には、高級時計にも用いられる「ペルラージュ加工」という“うろこ状のパターン”をあしらっている。熟練作業者による日本国内でのハンドメイド生産となっている。

IER-Z1R
うろこのような表面処理は独特。きっちりとした仕上げの美しさは特別感。
ソニー
質感はぜひ実物を見てもらいたい。
ソニー
大きめだが装着感はいい。L/Rも区別しやすい
ソニー
音導管など内部の構造は、後述するようになかなか特徴的だ

 音質に関しては「コンサートホールの特等席で聴いているような感覚」の再現にこだわったという。音楽を奏でる場所の“空気感”を再現するために選択したのが、2種類のダイナミック型ドライバーにバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを組み合わせたハイブリッド構成だ。

ソニー
左から12mmドライバー、インナーハウジング、5mmドライバー、BA型ドライバ―、外装パーツ

通常ハイブリッド構成に、超高域用のスーパーツィーターを追加

 中低域用に直径12mmと大きめのダイナミック型ドライバー、高域用にBA型ドライバー、超高域用に直径5mmのダイナミック型ドライバーを使用している。一般的な1ダイナミック+1バランスドアーマチュアの構成に、人間の耳では聴こえない“超高域”までカバーするダイナミック型ドライバーを足したことになる。なかなか珍しい試みだ。間にBA型ドライバーを挟んでいるが、後述するように12mmと5mmそれぞれのダイナミック型ドライバーを同軸配置できる点にメリットを見出したのかもしれない。

IER-Z1R
分解図
ソニー
各部パーツ
IER-Z1R
中央にあるのがインナーハウジング。2つのダイナミック型ドライバーは同軸配置し、BA型ドライバーは下側に取り付けている。

 3つのドライバユニットは、マグネシウム合金製のフレーム(インナーハウジング)に収められている。目的は不要振動を抑えることと、各ドライバーから出た音を最適な位相で合わせることだ。ソニーは後者を「リファインドフェイズ・ストラクチャー」と命名している。このインナーハウジングの後方には、広いスペース(拡張音響空間)が設けられている。そこに極細のチューブ(音響管)を接続。この仕組みで振動板の背圧を制御し、音質を調整している。

ソニー
ソニー
インナーハウジング
IER-Z1R
図の水色の部分が拡張音響空間。そこにつないだチューブを伝って空気が動く。

厳選したパーツで、ドライバーユニットや内部の回路を構成

 BA型ドライバーは、自社開発という利点を生かし、カスタマイズを施した。具体的には、既発売の「IER-M9」同様、比剛性が高く、内部損失も高いマグネシウム合金製の振動板、伝送効率の高い銀コート銅線を使用したボイスコイル、金メッキを施した端子部の採用などだ。

IER-Z1R
BA型ドライバーの構造図。

 中低域用のダイナミック型ドライバーは、薄膜のマグネシウム合金製ドームの周囲にアルミニウムコートのLCP(液晶ポリマー)を組み合わせている。中央部は軽量で剛性が高い素材、エッジ部にはしなやかに動く素材を使用している。考え方としては、MDR-Z1R用に開発した70mmのノウハウを12mmに小さくして実現したものだという。

IER-Z1R
12mmの中低音用ドライバー。中央とエッジ部で異なる素材を使っている。

 スーパーツィーターの役割を果たす、直径5mmの振動板は100kHzまでの再生に対応。アルミニウムコートのLCP振動板や外磁型磁器回路は独自開発したものだ。小型化によって、低域用ユニットと同軸配置した状態でノズル内に収めることができた。

IER-Z1R
5mmの超高域用ドライバー

 各ユニットが担当する信号を分割するネットワーク回路も、フィルムコンデンサーに加え、ソニー専用の高音質はんだを使用するなど、厳選したものになっている。

IER-Z1R
ネットワーク回路。ここもこだわりの高音質パーツを使っている。

 MMCX対応の付属ケーブルは、ノイズに強いツイストペア構造の銀コートOFC(無酸素銅)線を使用したもの。シース部はタッチノイズを低減するシルク編組(へんそ)にした。一般的な3.5mmのミニジャックと4.4mmのバランス駆動用ジャックを採用したケーブルを2本同梱する。端子には非磁性体の金メッキを施している。イヤホン接続部はハンガー形状となっており、耳に素早くフィット。あらかじめ形状に癖を付けた、プリフォームドタイプとなっている。

ソニー
IER-Z1R

付属品も豪華

 本体にはハードケースに加え、IER-M9同様、独自設計のシリコン製ケーブルホルダーが付属。コンパクトに巻き取れ、ハウジング同士の接触による傷やケーブルやハンガー部への負担も軽減できるという。ケースとホルダーは磁力で固定できる。

IER-Z1R
ケーブルホルダーを使うことで、コンパクトに持ち運べる。
ソニー

 イヤーピースは2種類の硬さのシリコンゴムに独自開発のシリコンフォーム素材を組み合わせた「トリプルコンフォートイヤピース」を6サイズ、固めの軸部と薄めのシリコンを組み合わせた「ハイブリッドイヤピース」を7サイズ用意している。

ソニー
IER-Z1R
パッケージもかなり豪華だ。
IER-Z1R
付属品の一覧
ソニー

 IER-Z1Rのインピーダンスは40Ωで、感度は103dB/mW。3Hz~100kHzまでの再生が可能だ。ケーブルを含まない状態での重量は約26g。価格はオープンプライスで、店頭での販売価格は21万円台後半になる見込みだ。