シナリオは似ている。共和党の大統領候補が多くの一般党員から酷評されるなか、政権維持を狙う民主党は安全なエスタブリッシュメント(既成勢力)と目される候補を指名する。ところが民主党の既成勢力候補は本選で敗退し、党内に衝撃と恐怖を与える。酷評されていた共和党候補は大統領となる。民主党内のリベラル派の活動家らは、この敗戦に憤慨。党内既成勢力の中道派が党大会で候補者指名をかすめ取ったが結果を出すことはできなかった、と主張する。対策として彼らは党を左傾化させ、4年後、明らかにリベラルな候補者を予備選で勝利させる――。これは、2016年大統領選での民主党とヒラリー・クリントン氏の敗北、および現在の後遺症に関する話ではない。1968年に民主党に起きた出来事と、その後の同党の不幸な左旋回の筋書きである。この左旋回が1972年大統領選でのより悲惨な敗北につながった。