相手をリスペクトするのは当たり前

高田 昨年末の12月1日、すでに降格は決まっている中でのホームの最終戦が、再びたまたま清水エスパルス戦でした。僕がアウェイで清水に行ったとき、ピッチ上であいさつをさせてもらったので、エスパルスの社長にも同じようにあいさつをしてもらって、一緒に試合を観てたんです。そしたら突然、「高田社長、これどういうことですか」と訊かれた。うちのスタジアムの大型ビジョンでは、相手チームのゴールシーンも流すんです。「私は20年近くJチームの社長をやっているけど、相手のゴールシーンをビジョンで流すなんて、ありえないですよ」って。

堂場 ありえないです、それは。見たことないです。要するに、ゴールはゴールだと。

高田 お互いをリスペクトすると言っているんだから、流さないほうがおかしいじゃないという感覚ですよね。

 グッズも、アウェイチームのグッズは売っちゃ駄目というところもあります。せっかくヴィヴィくんのファンが来てくれても、買ってもらえない。ファンが求めているのに何でいけないんだろう、それ全部フリーにしたほうがいいんじゃないですかって僕は常々思っていて、折に触れてアピールしています。

堂場  Jリーグができて25年。百年構想の4分の1の時間が経過して、ホーム&アウェイの応援の仕方とか、演出の仕方とか、それなりの歴史ができてきたと思いますが、平然と敵のゴールシーンを流してしまうという人はいなかった。まだまだ変えられる可能性があると、考えていらっしゃいますか。

高田 はい。今のチェアマンの村井さんも百年構想の中で、こうした部分をすごく意識しておられます。過去を継承しながら、新しい形をどんどん作り上げていかなきゃ。そういう議論の場も頻繁に設けていただいています。

 変革するのには、どうしても勇気がいりますね。でも、今は変化がすごく早くて、25年前のスピード感のままでいたら、どんどん取り残されていく。ちょっとした変化に敏感に、先取りして対応していきたいですね。

(3月21日(木)公開予定の後編に続く)

高田 明(たかた・あきら)/1948年長崎県平戸市生まれ。大阪経済大学経済学部卒業後、機械製造メーカーへ就職し、通訳として海外駐在を経験。実家のカメラ店「有限会社カメラのたかた」の支店経営を経て、1986年に独立し「株式会社たかた」を設立。1999年「株式会社ジャパネットたかた」に社名を変更。1990年のラジオショッピング開始を機に、テレビ、紙媒体、インターネットなど通販事業を展開し、2015年、66歳で代表取締役社長を退任。同年、「株式会社A and Live」設立。2017年、サッカークラブチーム「株式会社V・ファーレン長崎」代表取締役社長に就任。(高の字は “はしご高”)
堂場瞬一(どうば・しゅんいち)/
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年秋『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。警察小説とスポーツ小説の両ジャンルを軸に旺盛な執筆活動を続ける。警察小説では「警視庁犯罪被害者支援課」「警視庁追跡捜査係」「ラストライン」他、人気シリーズ多数。スポーツ小説では、箱根駅伝「学連選抜」がテーマのロングセラー『チーム』をはじめ、マラソン、競泳、ラグビーなど様々な競技を題材に執筆。野球小説では、新刊『ザ・ウォール』に登場するプロ野球チーム「スターズ」シリーズとして、『焔The Flame』『ラストダンス』『20』を発表している。2019年2月末現在の著作数は133作品。
>>対談・後編に続く