段取りとは「想像力」である
佐渡島 こういう経緯があって、起業してから「水野さんとしっかり仕事したいな」とずっと思っていました。それで2018年、10〜11月くらいからプロジェクトを一緒にやり始めて、そんななか『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』が出版されたんです。さっそく読んでみたら、プロジェクトの進め方がまさに本に書いてあるとおりだった(笑)。
こっちが頼んだことが打ち返されて、違う提案が来て……キャッチボールのようなやりとりはまさに「段取り」そのもの。読みながら「今、これが(実際の仕事の現場で)起きている」と、二重の楽しさがありましたね。
水野 たしかにこの本のとおりにやってるんですよ(笑)。
とはいえ、普段から「段取り」というものを体系立ててやっているからこの本が書けたわけではなくて、自分でなんとなくやっていたことを、編集者さんのおかげもあって、まとめることができたんです。「段取り」という考え方や手法は、この本ではじめて自分の中で体系化され言語化されたんです。
だから、例えばうちのスタッフに「いや、そうじゃなくてさ、こうじゃん」とか言うと「あ、何ページぐらいに書いてあったよな……」と、思い出すみたいなんですよ(笑)。やっぱり、この本のとおりにはやっているんですよね。だからこそ、ちょっと恥ずかしいんですけど。
記憶力のいい人と一緒にいると「本の○ページに書いてあったこと、本当にやってるんだな」って思われたりして……(笑)。
佐渡島 著者は本に書いたことを本当にやっているのか、見られますよね(笑)。
水野 見られます(苦笑)。でも、まさに本に書いてあるとおりで「段取りには『前』がある」という話なんです。結論から言うと、段取りは「想像力」なんですよ。
エレベーターに乗ったらどのボタンから押すのがいちばんいいのか? もし「牛乳、アイス、スイカ、するめイカを買ってこい」と言われたら、どれから買いに行くのがいいのか? そこを考える。予想、予測するのが「段取り」なんですよね。
でも「予測できれば苦労しないよ」というのが、段取りできない人が言いがちなパターン。うまく段取りするには「そこに対しての造詣が深い」とか「資料を集めてすごく勉強する」とか、そういうことで予想がしやすくなっていくと思うんです。本にはそういうようなことが書かれています。
佐渡島 想像力といえば、自著『ぼくらの仮説が世界をつくる』では、「世界は誰かが思い描いた『仮説』でできている」と書きました。スマホやインターネットにしたって、誰から「こうするとハッピーになるぞ」と思い描いた「絵」、つまり仮説から生まれたものだと思うんです。
水野 たしかに。デザインもそうですが、広義の発明って「想像力」や「仮説」から生まれるものですよね。そうしたものを生み出す力をつけるためにも、「段取り」は良い訓練になりますね。
※対談の続きは4/16公開予定です。
佐渡島庸平さんの本
【糸井重里さん推薦】「これは、ここからを生きる人の『ぼうけんの書』だ」
1600万部超! 『宇宙兄弟』
600万部超! 『ドラゴン桜』
を大ヒットに育て上げた編集者であり、
作家エージェント会社「コルク」を起業した、
いま注目度ナンバーワンの編集者/経営者、初の著書!
『ぼくらの仮説が世界をつくる』
◎もくじ
はじめに―大航海時代が始まった
【1章】ぼくらの仮説が世界をつくる―革命を起こすための思考アプローチ
【2章】「宇宙人視点」で考える―本質を見極め常識を打ち破るための思考法
【3章】インターネット時代の編集力―モノが売れない時代にぼくが考えてきたこと
【4章】「ドミノの1枚目」を倒す―遠くのゴールに辿り着くための基本の大切さ
【5章】不安も嫉妬心もまずは疑う―「先の見えない時代」の感情コントロール
【6章】仕事を遊ぶトムソーヤになる―人生を最高に楽しむための考え方
おわりに―仮説を実現する冒険に出よう
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クリエイティブディレクター
水野学が、段取りの秘密を全公開!
多くのプロジェクトを「同時に」「早く」
動かすにはどうすればいいのか?
多くのプロジェクトを手がける
クリエイティブディレクターが
その「段取り」の秘密を全公開します。
◎仕事を効率的に進める上で
避けては通れない「段取り」。
とても大切な技術なのに
学校でも会社でもきちんと教えてはくれない。
◎本書は多くのプロジェクトを並行して進め、
ハイクオリティのものを生み続ける
クリエイティブディレクター、
水野学氏が教える「段取り」の本である。
◎クリエイティブディレクターは
あらゆる商品や会社の
ブランディングやデザインを手がける仕事。
付き合うのは常に他業界であり、
かつ、受け仕事だ。
決定権やスケジュール感も
コントロールしづらい中で、
いかに水野氏は「段取り」をしているのか。
その秘密を明かす。
著者からのメッセージ
多くの仕事を日々進め、
ありとあらゆる関係者と
コミュニケーションをとりますが、
ぼく自身にストレスはありません。
仕事はスムーズにどんどん進んでいきますし、
チームも円滑に動いています。
それはなぜか?
ストレスなく仕事が順調に進むのは、
きちんと「段取り」をしているからです。
「段取り」という言葉は
少し古くさいかもしれません。
それでも、仕事においてとても大切なことです。
仕事の目的を定め、きちんと計画し、
あらゆる突発的なことも先回りしながら、
時間どおりに実現させる。
段取りとは、仕事の「超基本」なのです。
おもな目次
クリエイティブディレクターが「段取りの本」を書く理由
CHAPTER 1 段取りは「目的地」を決めるところから
◎1 プロジェクトのゴールをイメージする
◎2 ゴールを「ビジュアル」で共有しよう
◎3 想像の範囲を100年後まで広げよう
◎4「ターゲット」の解像度を極限まで上げよう
CHAPTER 2 最高の段取りをするために
「目的地までの地図」を描こう
◎1 すべての仕事は「ルーティン」である
◎2「ルーティン」が余裕を生み、仕事の質も上がる
◎3 コンセプトはプロジェクトの「警察」である
◎4 まず「知ること」からすべては始まる
CHAPTER 3 目的地まで最短距離で進もう――時間と効率化の話
◎1 すべてにおいて時間は「王さま」
◎2「締め切りが完成」である
◎3 仕事が入る「時間ボックス」を用意する
◎4「つらい仕事か、楽しい仕事か」は考えない
◎5 スケジュールが破綻しないために
CHAPTER 4 脳内に「空白をつくる」ために段取りをしよう
◎1 段取りが大切であるほんとうの理由
◎2 なるべく「ボール」を持たないようにする
◎3 生産性をマックスにするための打ち合わせ
CHAPTER 5 目的地までチームで動こう
◎1「チーム」を超えて「仲間関係」をつくろう
◎2 チーム全体で同じ方向を向くために
◎3 本音のコミュニケーションがチームを円滑にする
◎4 段取りをスムーズにするリーダーのひと工夫
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著者プロフィール
水野学(みずの・まなぶ)
good design company代表。
クリエイティブディレクター、
クリエイティブコンサルタント。
ゼロからのブランドづくりをはじめ、
ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、
インテリアデザイン、コンサルティング
までをトータルに手がける。
おもな仕事に、相鉄グループ「デザインブランドアッププロジェクト」、熊本県「くまモン」、中川政七商店、久原本家「茅乃舎」、イオンリテール「HOME COORDY」、東京ミッドタウン、オイシックス・ラ・大地「Oisix」、興和「TENERITA」「FLANDERS LINEN」、黒木本店、NTTドコモ「iD」、農林水産省CI、宇多田ヒカル「SINGLE COLLECTION VOL.2」、首都高速道路「東京スマートドライバー」など。ブランド「THE」の企画運営も手がける。
The One Show金賞、D&AD銀賞、CLIO銀賞、London International Awards金賞ほか受賞多数。
著書に『「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』(誠文堂新光社)、
『センスは知識からはじまる』『アウトプットのスイッチ』『アイデアの接着剤』(すべて朝日新聞出版)などがある。