例えば海外旅行の際に小さなトラブルで嫌な思いをした場合、その記憶だけを取り出せば「海外は怖くて嫌なところ」になります。しかし、そのトラブルの最中、「多くの人々に助けてもらって何とか切り抜けられた」というところに焦点を当てれば、「海外はいい人たちも結構いるいいところ」となるわけです。

 もし、今の自分に不満があったり、不遇をかこっていたりすると、悪いことだらけの過去の記憶に焦点を当て、「だから今が不幸なのだ」と考えるなら、それは過去に縛られているのと同じです。

 むしろ同じ時期にあった良いこと、楽しかったことに焦点を変えれば、今の自分を肯定することができます。簡単にできる効果的な方法の1つが過去の映像体験の再現です。なぜなら映像は脳を刺激し、様々な記憶を蘇らせてくれるからです。

 過去の番組を楽しかった思い出と位置づけ、それを見ていて喜んでいた素直な自分を肯定的に捉えることができれば、「自分の人生も捨てたものじゃない」と見えてくるのではないでしょうか。

 タイムカプセルは、ただ過去に浸る、過去に逃げるというだけでなく、今、そして未来の自分を肯定するための良薬でもあるのです。

 小学生の頃、国際救助隊のサンダーバードに夢中だった私は、危機に直面した人を助けることがカッコいいことと思っていました。その気持ちはまだ薄れていません。だからコンサルタントとしてそんな経営者のために親身になりたいという気持ちがいまだに消えないのだと思います。

「人を助けたい」という気持ちは、実はサンダーバードで育まれたと思っています。皆さんにも、そうした思い出があるのではないでしょうか。

 今回はテレビについていろいろと述べてきました。皆さんにとってテレビとは何でしょうか?私にとってはとても重要な人生の一部です。それだけに、一生懸命楽しむ努力をしなくてはいけないと思っています。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)