「新入社員の山田君と林さん、2人とも営業だ。森川、しっかり面倒を見てやってくれ。じゃ、2人とも、自己紹介して」

 川口課長に促されて、2人は前に出た。

「林ミカです!元気と体力だけは自信があります!早く戦力になれるよう頑張りますので、よろしくお願いします!」

「あ、えーと…。山田です。よろしくお願いします」

 森川は、林が元気いっぱい挨拶するのに対して、山田が何となく頼りなく見えた。

 川口課長が、彼らに言った。

「人事から聞いていると思うが、今日は19時から2人の歓迎会だぞ」

 すると山田が尋ねた。

「それって強制参加ですか?」

「歓迎会は君たちが主役なんだから…」と課長が言う。すると山田は、

「僕、お酒あまり好きじゃないんで。そういうのいいです」と淡々と断ってきた。

 課長が「そうは言っても…お店も予約しているし」と困惑していると、林が「いいじゃん、山田君、タダでご飯食べられると思えば(笑)」と山田の肩をポンと叩いた。山田は、渋々承諾した。

 この様子を見ていた森川は、「何だか面倒くさそうな新人が来ちゃったな」と嫌な予感がした。

教育係の説明に
口答えをする新人

 現場でのOJTが始まり、森川は苦戦していた。女性の林の方は、まだコミュニケーションが成り立つが、山田については話にならない。

 電話応対のやり方を教えた後、やらせてみる。ところが山田に誰から誰宛ての電話なのかを尋ねても「分かりません…」と話にならない。

 森川は「ちゃんとメモしないとダメだよ」と注意すると、山田はすかさず「電話は取れって言われたけど、メモを取れとは言われていません」と反論した。

 他にも森川が注意をしたりアドバイスを与えたりしても、彼は「聞いていません」「教わっていないので分かりません」といちいち口答えをしてきた。