1.他の代理店に鞍替えするケース
……日本レーザーの創業当時(私が社長になる前)、海外有力メーカーC社と代理店契約を結びました。
C社との関係は13年に及びましたが、あるとき、状況が一転します。
「社員のレベルが低い」「英語ができる社員が少ない」「期待したほど売上が上がっていない」といった理由で、一方的に契約を打ち切られてしまったのです。
なんとC社は次に、日本レーザーのライバルである上場企業のR社と代理店契約を結びました。
当時の日本レーザーは、売上の「60〜70%」をC社に依存していたため、このままでは倒産は必至。
営業部長(のちの副社長)だったUは、社長(初代社長/日本電子の開発担当常務)から、
「すぐにアメリカに飛んで、C社に代わるサプライヤーを探してこい。
新しい商権が見つかるまで日本に帰ってくるな!」
と指示を受け緊急渡米。
アメリカ中を奔走したのです。
しかし、Uの努力は実りませんでした。
新しい商権を見つけられないまま、彼は病気を患い、2ヵ月後に帰国しました。
売上の「60〜70%」も依存していた事業を失って無傷でいられる企業は、ほとんどないでしょう。
当社も例外ではなく、その事業に携わっていた社員の大半が退職しました。
残った社員が努力して、新しいサプライヤー製品を販売して会社は継続できましたが、非常に苦しい経験をしたのです。
現在は取引を切られても、担当していた社員は決して退職しません。
売上が落ち、粗利益が減るので年収は大幅にダウンしますが、新しい取引先を探して立て直す努力をしています。
大口継続の取引先は、諸刃の剣です。
安定的な収益を見込める一方、契約を解除されると大打撃を被ります。
かつての当社のように、一社への依存割合が高いと、得意先の動向次第で売上が激変してしまいます。
そこで現在では、新たな取引先を開拓して主要取引先を分散しています。
ひとつの取引先だけで売上全体の30%を超える場合は、経営リスクが高くなりますから、当社では、一社への依存率を20%以内にとどめています(現在の取引先で最大手は15%くらい)。