ここ数年、日本でも話題になっているバレットジャーナル。「箇条書き」を活かしたノート術が思考整理に役立つと、世界中で注目されている。だが、手書きによる記入や移動(書き写し)は面倒だという人も多いはず。しかし、一見非効率な作業のなかにこそ、真の効率性を考えるヒントがある。本連載では、発案者であるライダー・キャロル氏が書き下ろした初の公式ガイド『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』の刊行を記念して、著名なバレットジャーナル・ユーザーや専門家たちに寄稿してもらう。今回は、文具プランナーとして様々な商品開発にも携わる福島槙子氏が、バレットジャーナルの魅力とその効力について語る。

本来の「バレットジャーナル」は
シンプルで柔軟な究極のノート術

福島槙子(ふくしま・まきこ)
文具プランナー。ウェブマガジン「毎日、文房具。」副編集長
ウェブ・SNSでの発信やTV・ラジオ・雑誌等のメディア出演を通して文具のある生活を企画・提案。ひとりひとりの暮らしやニーズに合った文具の選び方・楽しみ方のアドバイスを得意とする。 文具の魅力を体験できるワークショップの開催、文具のプロデュース、文具売り場の企画や商品開発コンサルティングなども行う。著者に『まいにち ねこ文具』(Pヴァイン)他。
公式サイト:https://makiko.info/
ウェブマガジン:毎日、文房具。

「バレットジャーナル」という言葉を私が初めて耳にしたのはいつだったろうか。たしか2017年の中頃だったように思う。TwitterやInstagramといったSNSで話題になっているノート術があると知り、それが「バレットジャーナル」と呼ばれるものだった。

 検索してみると、カリグラフィーやイラストを駆使して華やかに彩られたノートの画像がこれでもかと画面に表示され、正直なところ「自分にはあまり関係ないな」と思った記憶がある。

 そのころ日本では引き続き「文房具ブーム」と言われる状況が続いていて、手帳業界も活性化していた。業界を牽引している手帳のひとつが「ほぼ日手帳」に代表される「1日1ページ手帳」と呼ばれる類のもので、1日の出来事を1ページの中にかわいらしく、素敵に、華やかにログしていくことが流行していた。

 それらのページが映った写真をSNSで見るのはとても楽しかったけれど、「自分でやってみよう」とは思わなかった。なぜなら私は毎日そんなに素敵なページをつくれるとはとても思えなかったし(時間的にも気力的にも)、毎日に同じ分量のスペースが割り振られているのもなんだか釈然としなかった(たくさんログを残したい日もあれば、少ししか残したくない日もあるはずだ)。

 なにより私が手帳に求めている機能は起こった出来事を記録するライフログではなく未来のスケジューリングやタスク管理だったから、ライフログを中心とした「1日1ページ手帳」ブームにはどうしても乗れずにいた。

 だから、「バレットジャーナル」を初めて知ったとき、美しく装飾されたページをたくさん目にして同じような感覚を抱いたのだと思う。こんなに素敵なノート、私にはつくれっこないし、多分つくる必要もないし、と。

 でもその後ほどなくして、私は「バレットジャーナル」本来の意味や手法を知ることになる。「バレットジャーナル」は、本当はすごくシンプルで、完成されたシステムでありながらも柔軟にユーザーに寄り添う、究極とも言えるノート術だったのだ。

「バレットジャーナル」の生みの親の生の言葉

 この度ダイヤモンド社から「バレットジャーナル」の生みの親であるライダー・キャロル氏本人の著書『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』が刊行されるということで、一足先にその内容を読ませてもらった。

 これまで「バレットジャーナル」に関する本やムックは何冊も読んだ。また、テレビや雑誌といったメディアで「バレットジャーナル」とはどんなものなのか、なぜブームになっているのかを私自身の言葉で語ってきたこともあり、「バレットジャーナル」に関しては概ね理解していたつもりではあった。

 だが、それを生み出したキャロル氏の生の言葉で語られる「バレットジャーナル」は、やはりこれまで知っていたことやこれまで抱いていた印象を大きな波で飲み込んでしまうような、そんな圧倒的な読後感だった。