事故があった部屋と、上下左右の部屋以外は告知しなくていい?
20代の須藤さんご夫婦は、そのエリアにしては格安といえる物件を見つけました。
不動産会社の担当者からも、「相場よりも安く、しかもリノベーション済みでおしゃれなので、大変おすすめです。早く契約しないと売れてしまいますよ」と言われ、購入を決めました。新耐震基準の築5年のマンションです。
ところが入居後、同じ階のある部屋で、1年前に殺人事件があったことを知りました。
不動産会社に「告知義務違反ではないか」と話したところ、「我が社での告知義務は、事故があったお部屋と、その上下左右の部屋という決まりがあるため、ただ同じ階の部屋というだけでは違反に当たらない」と説明を受けたそうです。
「30年のローンを組んで買ったマンションですから、すぐに移るわけにもいきません。エレベーターを使うには、必ずその部屋の前を通ることになります。なんだか怖くって……。安いからといって、飛びつくものではありませんね」とおっしゃっていました。
このように、事件があった部屋のみを告知するか、その周囲の部屋も告知するか、マンション全体として告知するか、という基準はあいまいなのです。
また、ここ数年の事故であれば、近隣や不動産会社でも把握できますが、十数年も前の場合、管理会社や不動産会社でも把握できていないこともあります。
物件見学時に管理員や住民などに過去にマンション全体で事件や事故、火災などがなかったか、念のため確認しておきましょう。