今、中古マンションに熱い視線が注がれています。新築マンションの価格が高騰し過ぎて、手に届きにくくなっていることから、消費者の目がにわかに中古物件に向いているからです。1月に『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)を上梓した著者の日下部理絵さんは、これまでに1000棟以上の物件を見てきたマンション管理のプロフェッショナル。日下部さんいわく、中古マンションは「値下がりしにくい価値ある物件」を選ぶのが賢い選択とのこと。では、どんな物件を選ぶのがいいのか? そのポイントをわかりやすく解説します。

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不動産会社によって、「心理的瑕疵物件」の定義はあいまい

 見た目もキレイで新耐震基準なのに、ひじょうに安い。理由もなく、ただ安い物件はありません。

 ここにも理由が潜んでいることがあるのです。

 それは心理的瑕疵物件や、それ相応の物件です。

 中古マンションを探していると、チラシや物件情報サイトの備考欄や特記事項として、「告知事項あり」などと書かれているのを見たことはないでしょうか。

 これは「心理的瑕疵物件」といって、物件そのものには瑕疵や欠陥はないのですが、買主が購入を決めるにあたり、「購入の判断を躊躇する物件」のことをいいます。

 つまり購入にあたり、心理的・精神的に強い抵抗を感じる物件のことです。

 これには、次のような例が当てはまります。

 ・自殺や殺人
 ・火災による死亡
 ・物件周辺での事件、事故、火災の発生
 ・騒音や悪臭
 ・大気や土壌汚染などが発生する施設がある
 ・墓地や宗教団体の施設がある
 ・暴力団などの事務所がある

このような、いわゆる事故物件と呼ばれるものは、心理的瑕疵物件の一つです。

 心理的瑕疵物件は、宅地建物取引業法で、「不動産会社が購入予定者に告知する義務」があります。そのため、物件見学時や担当者からの説明、重要事項説明書などの書類で確認することができます。

 ただし、問題もあります。

 それは、不動産会社によって、心理的瑕疵物件の定義があいまいなことです。

 もし孤独死や孤立死があっても、発見が遅れただけで病死や自然死のため、心理的瑕疵はないと判断されれば、告知されることはありません。

 また、不動産関連の法令などにも、明確な基準はありません。

 たとえば「自殺や殺人から1年経過したら、心理的瑕疵物件にはあたらない」などの、事故経過後どれくらいまでは告知義務があるのかなど期間の定義がないのです。

 そのため、事故物件(心理的瑕疵物件)に誰かが一度でも入居すれば、その後の告知義務はないなど、売手が条件や期限を決めて通常の物件として売りに出されているのが現状です。