大規模修繕工事が未実施かどうかをチェックしよう
さらに、「大規模修繕工事が未実施」というマンションもあります。
この場合、本来の大規模修繕工事の時期を確認し、大幅に遅れている理由を把握しておく必要があります。「修繕積立金の設定が低すぎる」「滞納が多く帳簿と実際の残高にかい離がある」など、修繕積立金会計に資金がなく、実施したくても実施できないマンションもあるのです。
あなたが購入を検討しているマンションで、「直近いつ大規模修繕工事を実施したのか」「工事内容は、大規模修繕の基本ともいえる屋上等の防水、外壁補修、鉄部塗装は実施か」「現在検討している最中か。検討が長引いている場合、理由は何か」などを必ず確認しておきましょう。
また、長期修繕計画には、おおよそ5年を目安に段階的に値上げをする「段階増額積立方式」と、20年以上など長期間にわたって修繕積立金が変わらない「均等積立方式」の2つがあります。
一般的に「段階増額積立方式」を採用しているマンションの方が多いため、入居後は値上げがあるものと心づもりをしておきましょう。
日下部 理絵(くさかべ・りえ)
マンショントレンド評論家・マンション管理士
大学在学中の2001年に実施された第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。マンション管理会社勤務を経て、マンションの総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」を設立。女性ならではの視点で、マンション管理組合の相談や顧問業務にあたる。また、数多くの調査を通じて、中古マンションの実態に精通する。テレビ・ラジオなどのメディアや、講演会・セミナーでも活躍中。
主な著書等に、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『負動産マンションを富動産に変えるプロ技』(小学館)、『マンション管理と修繕 最強ガイド2019』(東洋経済新報社)などがある。