したがって、たとえば消費税再増税を(安倍首相の任期も考えて)2年延期することで、“ついで”に軽減税率の抜本的な見直しを行なう余地が生まれるならば、延期された2年の間は消費税収に悪影響があるものの、長期的にはメリットの方が大きい(民間事業者の実務の煩雑さが解消される、さらなる消費税再増税の場合に税収が安定的に増えるなど)のではないでしょうか。

 もちろん、もし本当に軽減税率をやめて給付付き税額控除に切り替える場合、すでに軽減税率対策で投資を行なった民間事業者の不利益という問題が生じますが、お詫びとしてそれら事業者に多少の財政資金をバラまけば済む話です。

これからの2ヵ月が勝負
衆院解散に影響する様々な動きも

 以上のように考えると、消費税再増税の延期を大義名分にして衆議院を解散し、7月に衆参W選を行ない、延期された期間を活用して軽減税率を給付付き税額控除に切り替える、というのが政治的かつ経済政策的には合理的な判断となるはずですが、もちろんそうなるとは限りません。

 与党の幹部クラスの政治家や財界人は「消費税再増税を予定通りやれ」と声を揃えて叫んでいますし、軽減税率を変えるとなると与党内でもかなり強硬な反対が起きるでしょうから、それらの声をはねのけるのは実際には難しいかもしれません。

 ただ、5月、6月は経済の面ではGDP成長率以外にも景気動向指数や日銀短観などの経済のデータが発表され、また外交面でも一連のG20会合があるなど、少なくとも衆議院解散に影響するであろう様々な動きが起きるはずです。個人的には、その中で軽減税率の見直しにつながる議論が少しでも高まることを期待したいです。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)