イタリアで日本語の先生たちに根掘り葉掘り聞いてわかったことですが、優秀な学生、特にエンジニア系の学生に対してはシンガポールやアメリカの企業からそのくらいのオファーが出るそうです。さらに中国では、一定の条件にハマるとそれ以上の金額が提示されることもある、と。

 結論として、我々は日本語のできる欧米の優秀な新卒人材をマッチングすることは諦めました。欧米以外であればそれでも日本に来たいという人材はいるので、今後も取り組み続けるつもりではありますが。

給与の安い日本企業が
人材獲得競争で負け始めている

 日本と海外で給与差が開く背景として、そもそもの物価の違いがあります。この冬、私は趣味のスキーをしにフランスへ行ったのですが、一日券のリフト代が60ユーロ、日本円にして約7500円でした。ところが日本のスキー場では4000円くらい。倍近い差があります。

 スキー場の食堂でランチを取ると、フランスでは日替わり定食のようなもので18ユーロ、およそ2200円でした。日本では1000円くらいでしょうか。やはり倍近い差があります。海外と行き来している人は強く感じていると思いますが、欧米の先進国などに比べ日本の物価はかなり安くなっています。

 物価が安いということは当然、海外と比較して人件費も安くなり、人材獲得のための日本の競争力は低くなります。

 少し前、ニューヨークに帰国するアメリカ人の転職のお手伝いをしたときの話です。日本企業のニューヨーク支社幹部として年収1500万円のオファーが出たのですが、本人は「2000万円ないと生活できない」と難色を示しました。

 正直、「このポジションで2000万円は高いな」と内心思ったのですが、実際にアメリカ企業からあっさり2000万円のオファーが出て、そちらに決まってしまいました。物価差もあって、日本の1200万~1300万円くらいが向こうの2000万円くらいの感覚なのかもしれません。

 この案件で日本企業に2000万円は出せません。やはり先進諸国の中で、日本の給与の国際競争力は低下しています。