道路舗装大手の前田道路株を香港の投資ファンドが買い増ししていることが分かった。総株式数に対し、わずか数パーセントの保有でも要求提案を行う“物言う株主”が日本のゼネコンに触手を伸ばしている。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
ドメスティックな産業の代表格である建設業界にアクティビスト(物言う株主)が熱い視線を向けている。前田建設工業のグループ会社である道路舗装大手、前田道路の株式を香港の投資ファンドであるオアシス・インベストメンツII・マスター・ファンド・リミテッド(以下、オアシス・ファンド)が買い増ししていることが本編集部の取材で分かった。
保有する株式量は、直接の保有は発行済株式数の0.03%分に当たる約3万株、オアシスグループ全体で合計4%程度とみられる。英投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズも前田道路株を取得しており、こちらは13.06%(報告義務発生日は2017年1月5日)に及んでいる。
前田道路は有利子負債がなく、現預金と有価証券の合計が994億円(2019年3月期)もあるキャッシュリッチ企業であり、PBR(株価純資産倍率)は0.94倍(5月27日時点)。まさにアクティビストにとって“いい標的”になっている。
前田道路は自社株買いと社外取増員を決めた
オアシスグループを含む海外の投資ファンドは「自己株式の取得などによる株主還元の強化」「配当性向のアップ」「社外取締役の増員」などを主に要求する。前田道路は投資家の提案を受け入れ、上限100億円の自社株買いと6月27日付で社外取締役を1名増員することを決めた。この社外取の人選は、前田道路の株式を23.67%持っている(18年3月末時点)前田建設が推薦した。