ボストンコンサルティング社長として名を馳せたビジネス界きっての読書家が、どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。

AI時代だからこそ哲学を学ぶ

 リーダーになるには哲学が不可欠であり、古今東西の哲学書を読むことはリーダーシップの育成につながる。
 そう私は常々説いてきた。
 本格的なAI時代を迎えると、ビジネスパーソンが哲学を学ぶ重要性は、さらに高まってくる。

 AIとロボットが全盛の時代になるほど、その対極にある人間について勉強して、よく理解している人が重宝がられる。
 そのためにも、哲学を学んでおきたい。

 AIとロボットの組み合わせは最悪である。
 こちらの立場や感情を汲んではくれないし、自分たちが絶対に正しいと知っている(と思い込んでいる)から、価値観を一方的に押しつけてくる。
 哲学を学ぶと、AIとロボットという最悪コンビと大きく差別化できる。

 哲学を学んだ人と学んでいない人では、何が違うのか。

 哲学とは、人間の核心に迫ろうとする学問である。
 哲学を学ぶと人間理解が深まり、考える力が格段に上がる。
 超一流になるための洞察力も身につく。

 哲学を学んでいない人は考える力に乏しく、そのうえ読書量も少ないと、自分の体験と価値観という狭い了見だけに頼って何でもかんでも判断しようとする。
 人間理解が浅く、自分自身を客観的に認知するメタ認知ができていないから、相手から底の浅さを見透かされてしまい、全てが独善的な振る舞いだと思われてしまう。
 これでは、お互いに有意義な関係は結べない。

 哲学を学んでいる人は、おそらく読書量も総じて多いはずだ。
 メタ認知ができるから、安易に自分の体験と価値観を他人に押しつけたりはしない。
 考える力があり、「ひょっとしたら相手は自分とは違った価値尺度を持っていて、違う感じ方をするかもしれない」と想定できる。

 人間理解も深いから、相手の立場に立った良好なコミュニケーションが取れる。
 だから、人間関係もスムーズになる。
 単純化するなら、哲学を学んだ人材は超一流の予備軍であり、学んでいない人材はせいぜい一流止まりで終わってしまう可能性が高い。

 あなたが上司だったら、一体どちらの人材がほしいか。それは自明である。