ボストンコンサルティング社長として名を馳せたビジネス界きっての読書家が、
どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、
トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。

読書が文明・文化を進化させてきた

現存する世界最古の
印刷物は日本にある

歴史を振り返ると、文化・文明を進める最初のターニングポイントになったのは、言葉の誕生であり、それに続く文字の発明だ。
文字に書き残すことによって記憶に頼らない記録が行えるようになり、過去の知識と経験が着実に継承されるようになった。

続く大きな発明は、印刷技術である。
古代中国では、9世紀には木版印刷で大量の印刷物が作成されていた。
その印刷技術は日本にも伝わっており、現存する世界最古の印刷物は日本にある。

それは、8世紀に印刷された『百万塔陀羅尼』。
これは陀羅尼という仏教のお経の一部を、文字通り100万巻も印刷して百万塔に収めたものである。
百万塔は、法隆寺に4万個以上も現存している。

ヨーロッパで活版印刷による効率的な大量印刷のシステムを作ったのは、ドイツ出身のヨハネス・グーテンベルクで、15世紀のことである。
木版印刷は1つひとつ手彫りで仕上げるので大変な手間暇がかかる。
それに対して、アルファベットを1文字ずつ活字にしておけば、あとは並べ替えるだけで、どんな文章でも印刷できる。