ラブコールから一転、FCAが仏ルノーへの統合提案を撤回した。ルノーに経営の主導権を奪われることを恐れた日産自動車は、ルノーとの統合議論を先送りしてきた。仮に、FCA・ルノー連合が誕生していたら、日産の経営の独立性を阻むことにもなりかねなかった。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子、竹田孝洋)
6月4日、仏ルノーの取締役会は、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)からの統合提案を前向きに検討するとの声明を出した。
両社がこのまま経営統合へ突き進んだ場合、新統合会社(FCA・ルノー連合)と、資本構成上はルノーの支配下にある日産自動車との関係性はどう変わるのか。これまで通り、日産の独立性は維持されるのだろうか。
次ページの図は、ルノーと日産の2社だけで経営統合する場合と、FCA・ルノー連合に日産が合流する場合について、時価総額に基づく試算により統合後の姿をシミュレーションしたものだ。
試算には、国際間M&Aに詳しいスティーブン・ギブンズ弁護士による試算方法を参考にした。試算に利用するルノー、日産の正味の時価総額は、それぞれの時価総額から株式持ち合い分(ルノーが持つ日産株式と日産が持つルノー株式)の時価総額を差し引いて計算した。