岩渕真奈サッカー女子W杯決勝トーナメント1回戦、オランダ代表と競り合う女子日本代表の岩渕真奈 Photo:JIJI

なでしこジャパンの挑戦が夢半ばで終焉を迎えた。フランスで開催されているFIFA女子ワールドカップ。日本時間26日未明に行われたオランダ女子代表との決勝トーナメント1回戦で、日本女子代表は1-2で敗れてベスト16で姿を消した。しかし、一時は同点に追いつくゴールをアシストするなど、大会を通じて存在感を放ったのが26歳のFW岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)だった。4年前に引退したレジェンドで、なでしこジャパンが初優勝した2011年大会で得点王とMVPに輝いた澤穂希さんと交わした約束をかなえるべく、岩渕は悔し涙をさらに成長するための力に変えて、来夏の東京オリンピックへ向けてチームをけん引していく。(ノンフィクションライター 藤江直人)

オランダ戦は痛恨のPKで敗北も
同点ゴールを演出した岩渕真奈

 悔し涙が何度も頬を伝った。それでも、絶対に下は向かない。自らの手に握られているバトンの重さをかみしめるように、FW岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)は気丈に言葉を紡ぎ続けた。

「チャンスの数も多かったけど、それでも負けは負けなので。しっかり受け止めたい」

 フランスで開催されているFIFA女子ワールドカップ。8年前の前々回大会で世界中に衝撃と感動を与える初優勝を成し遂げ、4年前の前回大会でも堂々のファイナリストになった日本女子代表なでしこジャパンの挑戦は、夢の途中であまりにも残酷な幕切れを迎えた。

 レンヌのロアゾン・パルクで、日本時間26日未明に行われたオランダ女子代表との決勝トーナメント1回戦。1-1のまま延長戦突入の気配が漂ってきた後半終了間際に、なでしこジャパンは痛恨のPKを献上。ベスト16で大会から姿を消すことを余儀なくされた。

 試合は課題としていたセットプレーから前半17分に先制を許した。苦境を一変させたのが、同43分に岩渕が利かせた一瞬の機転だった。左サイドに開いたボランチの杉田妃和(INAC神戸レオネッサ)が、相手ゴール前に陣取るFW菅澤優衣香(浦和レッズレディース)へパスを通す。