連載第1回で、独自データに基づき「残業時間の減少が、社員の士気向上につながっていない」と指摘したリンクアンドモチベーション取締役の麻野耕司氏。「働き方改革」が真に個人の働き方を変え、組織に資するためには、組織全体で最適解を見出す必要がある。連載第2回は、組織の現実、問題のありようについて、経営学習論、組織開発論を専門とする中原淳・立教大学教授と麻野氏に語り合ってもらった(対談は前後編の2回でお届けする。本稿は、その前編である)
(構成:間杉俊彦、写真:大崎えりや)

「いつメン」たちが同じ場所で
1日の大半を過ごしてきた「ザ・職場」

麻野:連載第1回で、私は日本の企業組織における「階層間の意思疎通」に問題があること、「評価制度・給与制度」の改革に取り組む必要があることなどを示した上で、これから必要なのは「個人の働き方改革」ではなく、「組織の在り方改革」である、と指摘しました。組織のあり方について、中原先生はどのように考えておられますか?

中原:わたしは最近、パーソル総合研究所さんとの共同研究で『残業学』という本を上梓しました。この本の主要な主張は、「残業問題は個人の努力では解決しない」「残業問題は、組織のあり方を組織ぐるみで見直すことからはじまる」というです。なので、麻野さんの主張には共感します。

麻野:ありがとうございます。

中原:かつての日本型雇用に守られた職場のことを、わたしは「ザ・職場」と呼んでいます。今までの日本企業は長期雇用を前提として非常に限られた雇用属性、極端に言えば日本人、正社員、男性という感じで「いつメン」たちが同じところに集まって1日の大半を過ごしてきたと思います。そんな「ザ・職場」が崩壊してきていて、それに変わるあり方が問われている、ということかなと思います。

麻野:「ザ・職場」というのは、とても面白いですね。