3万円を払って人と会えるか?

 僕は行動を始めました。本を読んだり、セミナーに行ったり、とにかく行動しよう、といろんなところに顔を出していたある日、参加したセミナーで「この人はすごい! この人に教えを乞いたい!」と思う人に出会ったのです。

 その人は、20代で多くの会社を経営していたMARKさんという方でした。
 彼は学生の頃からビジネスを始め、生まれや育ちに関係なく、誰もが成功者になれる世界を目指していました。極端なスキルや才能など関係なしで、学生の頃からどうやって稼いできたのか、それらの話の熱量の高さが僕にも伝わってきて、もしかして自分にも何かできるのではないかと思ったのです。

 そしてセミナーが終わった後、僕は
「あなたのようになりたいので、教えてくれませんか?」
 とお話しして、メールアドレスをもらいました。

 そして僕はどうしても二人でお会いしたいと、メールで熱い思いを伝えました。
 これからの人生、僕はどう生きればいいのか迷っていました。MARKさんのように生きてみたい、目標にしたい、そう思えたのは初めてだったのです。
 MARKさんの所には、そんな若者がたくさん来るようで、
『3万円。それが出せるなら2人で会ってもいいよ』
 と返事がきました。「え……」と、僕は一瞬とまどいましたが、すぐに覚悟を決めてお会いしたいと返信しました。
 今、思えば、MARKさんは、僕の本気の度合いをみていたのだと思います。
 3万円という金額は、学生の僕にしては大金でしたが、払えない金額ではありません。
 忙しい経営者の時給を考えたら、安すぎるくらいです。僕はこうして2人で会うことになったのでした。

自分の強みは自分ではわからない 僕が知らなかった「強み」

 MARKさんに時間をとってもらい、僕のこれまでの人生を話しました。これからどう生きていこうか悩んでいることをすべて話したところ、こんな提案をされました。

「ボードゲームは松永くんの強みだよ。それで何かやってみたら?」
「え? ボードゲーム……ですか?」

 ドイツでの体験から、日本でもボードゲームの認知を高めて、もっとこの楽しさを伝えたい、とは思っていましたし、普通の人よりはある程度詳しいと思っていたボードゲーム。
 それが自分の「強み」と言えるものだとは、考えもしませんでした。そして、ボードゲームの活動していくに当たって、3つのアドバイスをもらったのです。

(1)肩書きをつくる
(2)名刺をつくる
(3)ブログをつくる

 この3つを行うということでした。
「名前に『直』が入っているから、ほんとに素直だよね」と、周囲からよく言われていたほど、素直だった僕は、教えてもらったことをすぐに実行しました。
 肩書きを「ボードゲームソムリエ」に決め、そして自分で名刺をつくり、ブログやツイッターも開始して、言われたとおりに、2~3日に1記事の投稿を始めました。すると、3ヵ月後にはボードゲームのマニアの間で「ソムリエと名乗って活動している人がいる」と噂が広がり始めたのです。
 さらに教えてもらったこの3つは「人から依頼されること」に必要な要素でした。
 もちろん、今であればブログではなく、インスタグラムやユーチューブなどの情報発信に置き換えてもいいかもしれません。

 また正直なところ「学生の自分にとっては大金である3万円も払ったんだから」という理由も、行動し続けるエネルギーの1つだったと思います。

 このMARKさんから教えてもらえたことが、ただ単に本で読んだだけだったり、もしくは無料で人に聞いただけだったなら、そこまでやらなかったかもしれません。結果から言ってこの3万円はとてつもなく安かったと思います。
 そして「自分の強み」というのは、なかなか自身ではわからないもので、自分が思っていることと他人から見えているものは違うということも、この経験で学びました。