日本のいわゆる芸能界では、吉本などの「芸能プロダクション」や「芸能事務所」と呼ばれる企業が、俳優やお笑い芸人などのタレントをスカウトして育てるケースが多い。タレントは個人事業主として事務所と契約を結び、事務所はタレントのスケジュール管理やメディアへの出演交渉など「マネジメント」を手掛ける。

 いきおい、交渉力のある有力事務所は、メディアとタレントの双方に対して強い権限を持つことが多く、出演の可否を握られるタレントたちは、一部の大物芸能人を除けば事務所より弱い立場にあるとされてきた。そんなタレントたちが公然と事務所を批判し始めたのは、従来見られなかったものである。

不祥事に共通する「コミュニケーション不足」の言い訳

 圧力をかけられた“弱者”が声を上げる現象は、今回の吉本に限ったことではない。そして不祥事を追及されたトップに共通するのは、「コミュニケーションが不足していた」「意思疎通が十分でなかった」という言い訳だ。

 例えば昨年注目を集めた日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題。危険なタックルをした学生への指導を追及された当時のアメフト部監督は、「コミュニケーション不足があった」と釈明した。

 また、4000件近い不適切物件の存在が6月に発覚した大和ハウス工業では、国の認定制度を守らせる社内制度が不十分だった点について、「コミュニケーション不足」が一因にあったと外部調査委員会の報告書で指摘されている。

 そして、今年注目を集めたコンビニエンスストアの加盟店をめぐる問題。24時間営業の事実上の強制や、加盟店側に不利な契約、売れ残った食品の廃棄費用の負担…。加盟店とのトラブルが起きるたびに、業界最大手のセブンーイレブン・ジャパンの首脳陣は「加盟店との意思疎通が十分でなかった」「コミュニケーションが不足していた」と繰り返してきた。

 この「意思疎通」「コミュニケーション」の2つのワードこそ、まさに吉本の岡本社長が22日の記者会見で、宮迫さんらとの処分や契約解消をめぐるやり取りについて釈明した際に用いたワードだった。