否定してくる人はすべて
“ドリームキラー”

 仕事のストレスから逃れるように、沙奈さんは、どんどんAにのめり込んでいった。Aのブログをくまなく読み、単発のセミナーには可能な限り参加した。Aの思考法により近づけるように、DVDや音声サービスも片っ端から購入した。

「精神的に弱っていた私にとって、Aの言葉はとても心地よかった」と沙奈さんは言うが、それにしても、なぜそんなにお金を支払ったのだろうか。

「Aは講座やブログ、メルマガなどで、『お金は出さなきゃ入ってこない』『これくらいの金額が出せないのでは、これ以上豊かになれない』ということを繰り返し言っていました。Aの言う通りにすれば、私にもお金が巡ってくると本気で思っていました。ほとんど洗脳ですよね」

 A自身、講座で「私のしていることを洗脳だと言う人もいる」と、大胆にも言うこともあったという。そのたびにAは、「それは“ドリームキラー”だから無視していい」と伝えた。ドリームキラーとは、夢や目標を邪魔する人のこと。沙奈さんがAに傾倒していることを、家族にも友人にも言えなかったのは、この言葉を信じてのことだった。

「Aにお金をつぎ込んでいると言えば、ドリームキラーである家族は、きっと反対するだろうと思いました。でも同時に、自分が間違っていると認めるのが、内心怖かったんです。誰にも相談しなければ、いつまでもAを信じることができますから」

 やがて沙奈さんは、Aが主宰するサロンに入ることにした。参加費は半年間で約15万円。この時点で沙奈さんは、50万円以上のお金を借金していた。

 しかし、このサロンに入ったことが、結果的に沙奈さんの洗脳を解くきっかけになる。