楽しさのプロデュースも計算ずく
東京はもはやアジア最先端ではない

 最後に、アジアの各都市・各商業施設で筆者の心に残った集客スポットを紹介したい。

世界から観光客を集めるアジアティーク

 それはバンコクの「アジアティーク・ザ・リバー・フロント」だ。東京ドーム約2.5個分という広大な敷地に約1500もの小売店舗と約40店舗の飲食店 (数字は公式サイトより) を構える商業施設で、観覧車やお化け屋敷などのアトラクションとともに、ファミリーで1日楽しむことができる。バンコクといえば、長らく「寺院」と「パッポン」(男性向けの怪しげなスポット)が観光の代名詞だったが、アジアティークはこの固定観念を払拭させる新名所の一つとなった。

 古くは19世紀後半にチャオプラヤー川沿いに建造された船着き場だったが、2012年に観光スポットとして再開発された。古い倉庫や引き込み線を生かしたリノベーションは、横浜の「赤レンガ倉庫」を思い起こさせる。両者ともに、「小売+飲食」のコンセプトは共通するが、アジアティークで世界から集まる観光客をひきつけていたのは、徹底的に充実させた「食」部門だった。

 敷地内にはカジュアルから高級店までさまざまなジャンルの飲食店があり、ウォーターフロントならではの解放感が巧みに演出されていた。さらに「夜市」的な食べ歩きスポットも非常に充実。低予算でさまざまな味を訪ねて回れるという「食べ歩きスタイル」は、洋の東西を問わず観光客には大人気であり、最も賑わうエリアとなっていた。

ワニ肉の解体ショー。「食べ歩きスタイル」は、洋の東西を問わず大人気だ

 その「夜市エリア」は屋根付きで照明が美しく、什器などのデザインも統一感があり、メニューはどれをとっても洗練されていた。中でも“ワニ肉の解体ショー”は観光客をくぎ付けにし、スマホ撮影の人だかりができていた。生バンドの演奏も観光客を楽しませるには十分に効果的であり、味はもとより、楽しさのプロデュースにも力が入る。単なるテナントの寄せ集めではなく、施設全体が「楽しい時間と空間」を演出しているのだ。

 魅力溢れる商業施設の出店ラッシュにあるバンコクは、外国からの訪問者を惹きつけてやまない。バンコクには年間2300万人が訪れ、「世界渡航先ランキング2018」(米マスターカード社調べ)で4年連続1位を維持する。気になる東京は約1300万人で9位だ。

 百貨店に限った話ではない。かつて、アジアの諸都市を訪問すると、「日本がまだまだ上」という優越感を持つことが多かったが、今は違う。すでにアジアに学ぶ時代が到来しているのだ。