『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』佐宗邦威氏の対談シリーズ第9弾のパートナーは、米国UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)にて「ニューロサイエンス」を学んで飛び級卒業し、「脳×教育×IT」にまたがった事業を手がけるダンシング・アインシュタイン代表の青砥瑞人氏。
内発的な「妄想」からはじめる思考アプローチ「VISION DRIVEN」を提唱し、大きな話題を呼んだ同書だが、このような思考法にはどこまで脳科学的な裏づけがあるのだろうか? 創造性を生み出す脳の使い方とは? 両者による対談を全4回にわたってお届けする(構成:高関進 第2回)。

使われない神経細胞は失われていく

青砥瑞人(以下、青砥) 脳の中には、使われやすい神経細胞(ニューロン)とあまり使われない神経細胞があります。人間の脳には「Use it, or lose it」という原則があり、使われればシナプスで結びつき、使われないと失われてしまうのです。使われて太くなった神経細胞は電気の漏えい率が低くなりますから、エネルギー的に効率がよくなります。

脳は全体重の2%くらいの質量しかありませんが、脳のエネルギーとなるグルコース(ブドウ糖)の消費量は全身の25%と言われています。それだけのエネルギーを消費するので、なるべく無駄遣いしたくない。そのため、使い慣れた脳細胞を使って省エネすることを選びます。つまり、脳はラクなことばかりしようとするようにできているわけで、だからこそ、なかなか大した発想というのは生まれないんです。

しかし、新しい発想を本気で思いつこうとしている人、普段から脳のいろいろなネットワークを使っている人は、意識しなくても勝手にボトムアップ型のモードに入って、トップダウン型からは出ない発想につながる場合があります。研究者などが研究室で考えているときには思いつかないけれど、ぼーっとしながら散歩しているときやちょっと旅行しているときなどにパッとひらめくのは、毎日毎日本気で考えているからなのです。