ファーウェイPhoto:Reuters

 ドナルド・トランプ米大統領が華為技術(ファーウェイ)に対する禁輸措置の緩和に合意してから2カ月以上がたつが、これまで米政権は1件も輸出申請を許可していない。そのため数十億ドルの売上高を失う立場にある米半導体メーカーの間では、不満が高まっている。

 米半導体メーカーは昨年、110億ドル(約1兆1800億円)相当の部品をファーウェイに輸出。だが、米政権が5月16日、ファーウェイを輸出禁止の対象であるブラックリストに追加したことで、重要な販路を絶たれている。

 トランプ氏は6月29日、20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に合わせ開催した中国・習近平国家主席との首脳会談で、国家安全保障に関わらないものについては、ファーウェイへの制裁を緩和することで合意していた。だが、商務省はこれまで、輸出ライセンスをまだ1件も承認していない。

 ファーウェイへの輸出が禁止されて以降の3カ月間で、 米半導体メーカーが受けた打撃はすでに数億ドル規模に達しているとみられている。米国外で生産されている特定商品については、輸出制限に違反せず販売できると主張するメーカーもあるが、半導体業界では売上高見通しを大幅に引き下げる動きが広がっている。

 米半導体工業会(SIA)の広報担当者は「ライセンスの承認が日々遅れるごとに、米半導体メーカーには大きな打撃が及ぶ一方で、世界の競合相手に一段の商機をもたらしている」と指摘。米半導体メーカーが輸出できない状況が続けば、いずれは競合他社による中国市場のシェア拡大を許すことになると述べた。