トランプ米大統領が断続的に為替市場に対して不平不満を漏らすようになっている。8月30日にはツイッターへの投稿で、「ユーロは対ドルでクレイジーに下落している」とつぶやき、「今やドルは史上最も高い。良いことのように聞こえるか?米国外に製品を輸出したい製造業者以外にとってはそうだろう」などと皮肉も口にしている。
これだけドル高に苦情を申し立てても結局、状況は全く変わっておらず、もはやトランプ大統領の為替や金融政策に対する相場観はほとんど市場で相手にされていないとも言える。
言って分からないなら実力行使か
こうした状況下、トランプ大統領の性格を察するに「言って分からないなら実力行使」という展開に踏み込んでくるのではないかという不安は抱かざるを得ない。
ドルの名目実効為替相場(NEER)はトランプ大統領の米連邦準備理事会(FRB)批判や実際の利下げを受けても前年比と年初来で上昇している(図1参照)。トランプ大統領が述べる「史上最高」ではないが、史上最高値「圏」にあるのは確かだ。対ドルで上昇している通貨は円とカナダドルくらいであり、基本的にドルは「高い」と言っていい。
こうした相場の下で米国経済が失速しているという事実も合わせてみれば、トランプ大統領がドル売り為替介入に関心を持つ可能性はあながち否定できないようにも思える。