日本経済緊急警告Part3
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吉川立正大学学長と山口元日銀副総裁による緊急警告の第3回は、金融危機前並みに高まった米国の金融リスクが日本経済激震の要因となるメカニズムを解き明かす。長期化する“異次元緩和”は日本の金融機関の体力を奪い、外貨に傾倒した資産運用は国際金融市場の負のショックへの耐性を低下させる。次なる米国のバブル崩壊は日本経済を揺るがす可能性が高い。さらなる金融緩和はそうしたリスクを増大させるだけである。

危機前同様の金融緩和状態が続き、高騰続く資産価格

 米国では、債務拡大を中心とした金融リスクが増大しつつある。さまざまな点で世界金融危機(リーマンショック)前と類似してきている。その類似点を検証してみる。

 まず第一に指摘されるべきことは、金融緩和的な状況が続いていることである。FRB(米連邦準備制度理事会)は、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートを2015年末以降、通算9回、2.25%引き上げてきた。

 にもかかわらず、金融環境は、中長期の金利、株価、ドル相場などを総合して算出される米ゴールドマン・サックスの金融環境指数の水準を見ても分かるように、世界金融危機前の極めて緩和的な状況とほとんど変わっていない。

 第二に、資産価格の動き。株価、住宅価格、商業用不動産価格などはいずれも高水準である。

 株価については、米エール大学のロバート・シラー教授が考案した、景気循環を調整したPER(株価収益率)であるCAPEレシオを見ると、14年6月から19年5月までの間、おおむね一貫して割高さの目安である25倍を超えている。

 第1回で触れたように、歴史的には25倍を超えるCAPEレシオは持続可能ではなく、株価は必ず下落している。