謝罪するリクルートキャリアの小林大三社長(左)謝罪するリクルートキャリアの小林大三社長(左) 写真:毎日新聞社/アフロ

「リクナビ」を利用した内定辞退率データを企業に販売していた問題が、人材業界全体を震え上がらせている。個人情報保護の観点だけではなく、人材データの利活用のあり方そのものが問われている。 (ダイヤモンド編集部 相馬留美)

本人の同意があっても
「内定辞退率」の外部提供はアウト

 「リクナビがやったのは『オレオレ詐欺』みたいなもの。金を取る仕組みづくりはさすがだが、直感的にアウトでしょ」と新卒向けサービスを行う同業他社の事業担当者は苦笑する。

 就職情報サイト「リクナビ」を利用した内定辞退率データの販売問題が波紋を広げている。

 リクルートホールディングスのグループ会社・リクルートキャリアは、2018年3月「リクナビDMPフォロー」(以下、DMPフォロー)というサービスを開始。このサービスを使えば、リクナビ上の行動履歴などをもとに、内定辞退率を算出できる。契約していた38社のうち34社に対して、リクルートキャリアは内定辞退率スコアを提供していた。

 しかし、19年8月26日にリクルートキャリアは個人情報保護委員会から勧告・指導を受けた。その理由は、「リクナビ2020」において、約8000人がDMPフォローへの個人情報提供の同意が取れていなかったためだ。

 話はそれだけに止まらなかった。9月6日、リクルートキャリアは職業安定法および同法に基づく指針に違反したとして、東京労働局からも行政指導を受けた。