ゼネコン列島最前線[第9回(上)]
Photo by Yoshihisa Wada

中堅ゼネコンで土木技術に定評がある飛島建設。バブル経済崩壊で規模を縮小したものの、近年では建設業を中心にM&Aを仕掛ける側に回っている。乘京正弘社長に景況感や今後の業界再編について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松野友美)

ポスト2020も急激な市場縮小はない
23年以降は劇的に変わる

――ポスト2020の景況感をどう見ていますか。

 建設市場には、オリンピック・パラリンピック関連だけじゃなく、リニア中央新幹線や国土強靱化などインフラ関係の仕事がたくさんあります。

 開発のかたちは変わっていき、「Society 5.0」(※)の中で土木や建築事業で箱物を造ったり、道路や橋などを整えたりするだけでなく、情報通信機器が付属するような、コンパクトシティーとかスマートシティーが出来上がると思う。だから建設業者は、今まで通りじゃなくて、いろいろなアイテムを持っていないと事業に参画できないんじゃないかと危惧していて、それに備える必要を感じています。

 今回作った中期5カ年計画(2019~23年度の中期経営計画)では、急激に市場が縮小するとは考えていません。ただ、少子高齢化が進む中で税収が減り、今まで通りの土木や建築工事は少なくなるでしょう。23年くらいまでは建設市場の規模は変わらず、今まで通りのやり方でできるかもしれない。でも、それから劇的に変わると思います。

――一定規模以上のゼネコン以外は新しい「開発」に入っていけない?

 一から全部やるというのはどこも難しいと思う。スーパーゼネコンならば分かりませんが。

 おそらく、もっと規模が大きいグローバル企業の大手通信会社グループとかメーカーなどがそういうのを考えて、ゼネコンはそこに参画するようなかたちを取っていくんじゃないかと。ゼネコンが全て仕切るなんてことはない。ゼネコンにおいては、特色のある技術があれば売り込みの材料になる。

――そうなると、受注の仕方も変わりますか。

 構想者と組むとかね。発注者が大きな集まりの中に参画したり。ひょっとしたら大きな会社の一部だけで参画することもあると思う。さまざまな組み合わせで、いろいろな場所で動きだすんじゃないか。

――前の中計は1年繰り上げています。今後も好調は続くと予想していますか。

 前の中期3カ年計画(17~19年度だったが、業績が良く1年繰り上げた)で初年度、2年目とやって、私自身はうちの会社の実力が分かってきた。今は過渡期にある。早く先手を打って、M&A(企業の合併・買収)を通して提供できる価値を広げたり、飛島建設内の仕事のやり方を見直し、人員構成の偏りといったゆがみを改めたりしようと思う。

 新しいデジタル技術の浸透によって人々の生活がより良い方向に進化するというデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応すべく、経営計画の作成や技術開発をするためにやはり2~3年くらいかけなければならないでしょう。それが見えてくるまではどうしても、実力の中で今まで通りやっていくしかない。

 今は手持ちの工事量がすごく多いので、新たな工事にはなかなか取り組めない。だからそれをちゃんとこなしながら、会社の中の構造改革をする。絵に描いた餅みたいに見えますけれども、ドドンッと改革しない限りは、1人当たりの生産性が向上しない。それでは働き方改革もできない。

 せめて現中計の3年目が終わる21年度(22年3月期)までの間にこなしていきたい。23年度(24年3月期)には達成できて、生産性は向上できているなというかたちを現中計の5カ年計画で考えています。

 業績面において、業務量を増やすわけではなくて、内容を良くしていく。今で言うと23年度の連結の数字で、この人員だったら土木事業の売り上げは800億円くらいが精いっぱい。建築事業は500億円くらい。それ以外(グロース事業)で300億円。全部で1600億円くらいになる。今だいたい1200億~1300億円の間です。人員をどんどん増やすよりも、1人当たりの生産性を増やしていきたい。

 日本建設業連合会の試算では、建設業に従事する人が2割減るから、デジタル化でその分の2割を補おうと考えています。まあ2割の実現は、ものすごくきついのですが、それぐらいのつもりで生産性を増やしていかなければならない。ただ、お金に関しては直接結び付かないところもあります。働き方改革とか、休日を取ることにも費やしますからね。

*IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人一人のニーズに合わせるかたちで社会的課題を解決する新たな社会のこと。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く。(内閣府ホームページより)