復興特需がピークアウトした東日本大震災の被災地。人口減少や担い手不足など今後の建設業の経営環境は予断を許さない。宮城県の有力ゼネコンである橋本店の佐々木宏明社長に、手元資金の使い道や受注を目指す工事など、今後の戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
*本インタビューは台風19号が日本に上陸する前に今夏実施したものです。
民間工事の受注を増やしていく
建設業以外が利益の1~2割
――ここ最近の業況や今後の課題について教えてください。
従来、当社の受注は8~9割が公共工事でした。地元の沿岸の公共工事は、地元企業が総合評価で高く評価されることによって優先的に受注できる仕組みで、他社を含め受注環境は恵まれています。ですが、マーケットが縮小してからは厳しくなるでしょう。今後は民間工事の受注を増やしていく必要があります。
当社は最近、東京のホテル業者と組んで、ユニットを組むタイプのホテル建設の工事を手掛けました。地元ではこれから、東北大学青葉山キャンパスで次世代放射光の実験施設の工事が計画されています。これに関連した研究者の住宅などの建設需要が見込めます。
今後は、土地情報を生かすなど大手にはできない、地場の強みを生かした工事やPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、民間資金活用による社会資本整備)などを増やすのが目標です。今後は東北6県を中心に、当社が大手の下に入ってJV(共同企業体)を組むというより、各地方の地場の建設会社とJVを組む工事に力を入れたいですね。
加えて、本業である建設業に軸足を置きながら、関連するエネルギーや不動産にもビジネスを広げ、受注が厳しいときにもしのげるような体制づくりをしています。現状、建設業以外が利益の1~2割を占めるようにはなっています。