小池百合子東京都知事にとっては、もはや触れられたくない過去となっているようだ。築地からの移転を経て1年が過ぎた豊洲市場。当初掲げた物流の“コールドチェーン”は事実上崩壊。駐車場不足やエレベーターの死亡事故、粉じん発生など、想定外の問題が続出するが、都の対応は弥縫策にとどまっている。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
平日は閉鎖の「イベント広場」
解決しない駐車場不足で客足鈍化
「昨年の10月11日から1年が過ぎ、豊洲市場に向かってターレ(ターレットトラック、荷物運搬用の小型車両)が何百台も移動する姿は、歴史に残るものだったのではないでしょうか」――。小池百合子東京都知事は10月4日の定例記者会見で、1年前の築地市場の豊洲への移転について問われ、こう振り返った。
そのうえで、10月5~6日に豊洲市場で行われた「豊洲市場開場1周年記念フェスタ」について、「魚食の普及や食育のためのプログラムがあり、ぜひ多くの方にご来場いただきたい」とアピールした。
記念フェスタの盛り上がりは今一つだったようだが、会場となったのは、豊洲市場の水産仲卸棟がある6街区の「屋外スペース」と呼ばれる場所だ。そして平日のこの空間の活用について、現場で不満が高まっている。
地面には白線が引かれ、何十台もの車が駐車可能な広さがある。3月までは実際に駐車場として使われていた。ところが今、イベントがない平日は閉鎖され、市場で働く人々や買い出し人らは駐車できない。卸業者や仲卸業者の従業員には、徒歩10分以上かかる有明での駐車を強いられている人もいる。いったいなぜか。