ヤマト運輸がアマゾンと宅配運賃の一部値下げで合意したことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。27年ぶりの値上げを断行してから丸2年。両者そして運輸業界に何が起こっているのか。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
2017年に4割値上げ
400円前後になっていた
国内宅配便最大手であるヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸が米インターネット通販最大手アマゾン(日本法人はアマゾン・ジャパン)との交渉により、宅配の荷受け量を増やし、一部運賃を値下げしたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。
ヤマトは2017年に取扱数量を制限する「総量規制」を導入し、同年10月1日、27年ぶりに基本運賃を改定して値上げを断行した。なぜ今、この流れから逆行するのか。
急増する荷物に対して人手が足りず、ドライバーが疲弊する“宅配クライシス”が顕在化したのは2016年8月のこと。ヤマトの元ドライバーがサービス残業を強いられる“ブラック職場”であることを世に訴え、ヤマトは横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けた。
翌17年の春闘では労働組合が提示した荷物の総量規制などの条件を経営側が受け入れ、妥結。従業員約4万7000人に対して未払い残業代190億円が一時金として支払われた。
前代未聞の事態は、業績にも大きな影響を与えた。例年は600億円強あった営業利益が、17年3月期決算では半減した。ヤマトは働き方改革を推し進めるため、総量規制と共に運賃値上げと人員増を打ち出した。
実に27年ぶりに基本運賃を改定し、大口法人1000社に値上げ交渉を行った。ダイヤモンド編集部の取材によると、アマゾンとの交渉は従来の1個当たり280円前後からヤマトが450円前後への変更を提案し、最終的に4割増にあたる400円前後で決着した。