ヤマト運輸で起きた不正行為や犯罪、事件・事故に対する懲戒事案をまとめた「懲戒委員会審査決定事項について」という社外秘資料を、本誌は独自入手した。ヤマトは昨年の大規模な違法労働問題に続き、7月には法人向け引っ越し事業の全国的な過大請求が判明したが、本丸の宅急便事業ではどのようなコンプライアンス体制を敷いているのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部・柳澤里佳)

ヤマトの通称「赤社報」の表紙と、その内容
ヤマトの通称「赤社報」の表紙(左)と、その内容(右)。個人氏名と懲戒の内容が生々しく記されている
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「懲戒」と赤文字で大きく書かれた表紙。中をめくると「交通事故を隠蔽していた」「代金の着服を行った」など物々しい文面が幾つも並んでいる。

 これは宅配便最大手のヤマト運輸で起きた不正行為や犯罪、事件・事故に対する懲戒事案をまとめた「懲戒委員会審査決定事項について」という社外秘資料。通称「赤社報」だ。本誌は同社関係者から、2017年4月13日付の第432回分から同年12月22日付の第440回分までの赤社報を入手。これを基に懲戒の種類やそれに対する審議、主なケースをまとめたのが次ページの図である(なお、ヤマト運輸に対して資料の確認と幾つかの質問をしたところ、同社は「コメントは控える」と回答し、否定しなかった)。

 その数、9ヵ月間で総計203件。資料を提供した関係者は、「お客さまから運賃や代引き手数料を頂きながら、不正に着服する行為が全国的に多い。飲酒運転などで逮捕される事案も毎月のように発生している」と深刻さを訴える。そして「これは宅急便事業のみの不祥事で、グループ全体では驚くほどの件数になる」という。

 まるでそれを裏付けるかのような問題が起きている。7月、引っ越し事業を行うグループ会社のヤマトホームコンビニエンス(YHC)が過去2年間にわたり、法人客2640社に総額17億円を過大請求していたことが判明した。

「顧客から信頼を頂いているクロネコブランドとして、あってはいけないこと」。ヤマトホールディングスの山内雅喜社長は記者会見の席で謝罪を繰り返し、「組織的に指示したことはない」と弁明。しかし全国の事業所の9割近くで過大請求が見つかっており、全社的に不正が横行していたのは明らかだ。会見の数日後に過大請求額を過去5年間で総額31億円に訂正するなど、その全容は計り知れず、今月9日には国土交通省がYHC本社に立ち入り検査を行う異例の事態となっている。