このような取り組みの際にユーザーが気にするのは、冒頭で述べたような盗難や紛失、破損の場合にどうなるかです。多治見市のケースでは「配達後は商品写真をメールで確認でき、盗難、紛失に遭った場合は同社が補償する」ということで、一見問題は生じないように思えます。他の地域で「置き配」を選んだ人の場合も、アマゾンのHPでは届いていない場合について、「お客様から状況を伺い、商品の再送や返金に対応いたします」と書かれています。

メール便と宅配便は
本来全く違うサービス

 では、この補償ポリシーは将来も続くのでしょうか。多治見市の実験は、将来的にアマゾンとしてどこまで補償できるのかを検討するためのデータを得るための実験でもあるはずです。とはいえ仮に全額補償でも、確率論を考えれば生産性が向上することで元がとれることになる可能性は、十分にあると思います。むしろ問題は、そのような費用対効果だけで判断すると、隠れたトラブルを抱え込むことになる可能性があることです。

「日本人の文化的傾向を考えると、サービスアグリーメントを超えたところで『置き配』がトラブルを起こすのではないか」というのが、この実験に対する私の予測です。

 サービスアグリーメントというのは、運送会社の場合、その料金プランでどこまで補償してくれるかというサービス内容です。たとえば、メール便は配送料金は安いですが、それが届くかどうかは(運送会社はそういう表現はしませんが)あくまでベストエフォートベース、つまり最大限の努力はするけれど補償はしない、という前提になっています。ここが、きちんと届ける義務がある郵便とは違う点です。

 ちゃんと相手に届くかどうか、運送会社に責任を持ってもらいたければ、メール便ではなく宅配便を選ぶべきです。ヤマト運輸の宅急便の場合、届ける荷物が途中で破損したり紛失したりした場合、きちんと補償してくれます。ただし、その補償上限は30万円と決められています。

 別の会社ですが、早くから「置き配」サービスを手がけるOKIPPAというサービスがあります。伊藤忠商事出身の経営者が始めたベンチャー企業ですが、こちらの「置き配」にもサービスアグリーメントがあります。それによれば、補償を受けるためには有償で30日あたり100円のプレミアムプランに加入する必要があって、それに入れば紛失・盗難時に最大3万円の補償が受けられることになっています。