ビジネスパーソンの中には、曖昧な表現こそが高等表現だと勘違いしている人がいる。自分自身や所属する組織を守ろうとして繰り出す曖昧表現が、実は自分や組織への信頼度を著しく低下させてしまうにもかかわらずだ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

曖昧な表現が
疑心暗鬼を生む

メールを見ているビジネスマン
仕事上の不手際を隠そうと、曖昧な表現をしてしまうと、相手は疑心暗鬼になるだけ。逆効果である Photo:PIXTA

 プロカメラマンに写真撮影をしてもらおうと思い、窓口になっている会社に出向いて予約をしようとした。撮影場所はその会社の店舗で、ユニークなソファに座ったり、厳かな書棚を背景にして撮影してくれるという。ありきたりの背景幕の前で撮影するパターンにへきえきしていたので、その企画に乗ったのだ。

 撮影予定日が限られていて、1ヵ月ほど先だったがその場で申し込もうとした。しかし、担当者が不在ということで、申し込みを受け付けるかどうかと、撮影日時を確定できるかどうかについては、あらためて担当者からメールで連絡をくれるということになった。

 その後、日は過ぎていくが担当者から連絡が来ない。2週間ほどして、その会社に電話をしたら、しばらくしてから当の担当者から折り返しの電話が来た。その電話が曖昧さの始まりだった。

 担当者は電話で、「既に私にメールをしたが、申し込みの受け付けは完了し、撮影日時も確定した」と言う。私は、日頃からメールやToDoリストの管理をしているので、気になってしまい、いつメールを送ってくれたかを聞いた。

 しかし、担当者は「数日前」「○日頃」と曖昧に言うだけだった。重ねて聞くと、送信日を教えてくれたが、その日どころか、私が申し込みをして以降、受信メールボックスにも、迷惑メールボックスにも、同社からのメールはなかった。電話ではなくて、メールに残して確認しておきたいと思ったので、「数日前に送ってくれたメールを転送しておいてください」と申し上げて電話を切った。

 その後、送られてきたメールは、数日前に送ったというメールの転送ではなく、新たに書き起こされた内容だった。この時点で、もちろんどちらかのメールの不具合ということはあり得るが、おそらく、この担当者はメールを送り忘れたのだろう。

 何かメールの不具合で送ったけれども届かなかったのであれば、前に送ったメールをそのまま転送してくれればよいだけだ。もし、メールの送り忘れだったのならば、「連絡が遅れました」と一言を添えれば済む話だ。それを「既にメールを送った」と言いながら、送った時期や内容を曖昧にしてしまうので、相手を疑心暗鬼にさせてしまう。